北海道の雄大な自然が広がる倶知安町で、にわかに注目を集める“謎の建築物”が存在感を強めています。
蝦夷富士とも称される美しい羊蹄山のふもと。静寂に包まれていた森林地帯に突如として現れた、巨大な白い建物。そして今、この計画が“森林法違反”で道から工事停止を命じられたことで、地元やネット上で騒ぎが拡大しています。
建設を進めていたのは、「中国系」とされる謎の人物。そして施工を担っていたのは札幌のある企業。しかし──その詳細はいまだ明かされていないのです。
無許可伐採、森林法違反…何が起きていたのか?
問題の建築現場は倶知安町巽(たつみ)地区。道庁・後志総合振興局の職員が6月4日に現地へ立ち入った結果、「森林法で定められた伐採許可の範囲を大幅に超えた無断伐採」が確認されました。
これを受けて道は即座に工事業者に対し、工事の停止と、森林の機能を回復するための「復旧工事計画書」の提出を求めました。つまり、いったん破壊してしまった自然を元に戻す責任を、しっかりと果たしてもらうという対応です。
だが、気になるのはその「建物の正体」と「誰が建てていたのか」ということ。
住宅2棟? いや、それにしてはデカすぎる…
工事業者が道に提出した説明によれば、「建てているのは戸建て住宅2棟」とのこと。しかし、航空写真や現地の目撃者の話によると、建物はとても“個人の住宅”とは思えないスケール。
「明らかにホテル級」「大型施設じゃないか?」といった声がSNSでも相次いでいます。
しかも、工事は2023年にはすでに始まっていたとされ、着々と計画は進んでいた模様。では、このプロジェクトの背後には一体誰がいるのでしょうか?
中国系投資家? 実名は未公開──しかし周辺の動きが不穏すぎる
現在、この建築プロジェクトの発注主とされる「中国系の人物」の名前や詳細なプロフィールは、報道でも公開されていません。建設を請け負ったとされる札幌の会社についても、具体的な社名は明らかになっていない状況です。
ただし、北海道・特にニセコ〜倶知安エリアは、近年海外資本、とくに中国を中心としたアジア系資本の投資先として注目を集めており、多くのリゾート開発が進行しています。
そのなかには、2024年に経営破綻した「New World La Plume Niseko Resort」のように、大型のリゾート計画が頓挫するケースも増えています。これは、今回の案件と直接的な関係は確認されていませんが、“中国資本とリゾート開発”というキーワードで重なる部分も多く、不安をあおっています。
地元の不安、自然破壊への危機感、そして規制強化の動き
倶知安やニセコといった地域は、北海道でも特に美しい自然と観光価値を持つエリア。その大自然の中に、無許可で木々をなぎ倒して建てられた建物がある──となれば、地元住民の間に緊張が走るのも当然です。
実際、「外国資本による無秩序な開発は、景観と地域の秩序を壊すのでは」といった声も強まっており、行政側も森林区域や自然保護区での開発に対する規制の強化を視野に入れているとの報道もあります。
今後どうなる? 注目すべきは“透明性”と“説明責任”
今回の事案は、単なる違法伐採の問題にとどまらず、外国資本と地域のあり方、土地利用の透明性、そして行政の監視体制という多くのテーマを孕んでいます。
一方で、「誰が」「なぜ」「何を建てているのか」という最も肝心な部分が、依然として闇の中にあるという現実。その“謎”の存在こそが、逆に世間の不安をかき立てているのです。
透明性ある情報公開と、地元住民が納得できる説明責任──今後の開発が“歓迎されるもの”となるには、何よりもまずそれが必要です。
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