日本中を沸かせた金メダリストが、次に選んだのは、まさかの“リング”だった。
2024年6月23日、スポーツ界・プロレス界が一斉にざわついた。柔道男子100キロ級で東京五輪金メダルを獲得したウルフ・アロン(29)が、新日本プロレスへの入団を電撃発表。
しかも、その理由を問われた彼の答えは、あまりにもシンプル、だけどズシリと響くものだった。
「なぜプロレスか? ――好きだからです」
一見すると軽いように聞こえるこの言葉。しかし、そこに込められた覚悟と、彼の“人生の賭け”は、想像以上に重く、リアルだ。
金メダルを獲った男がなぜ、わざわざ荒れ狂うプロレスの世界へ飛び込むのか?
その理由、裏側、そして誰もが気になる“収入事情”まで、エンタメ目線で徹底的に深掘りしていこう。
◆ウルフ・アロン、29歳。すべてをリセットしてプロレスの世界へ
まずはウルフ・アロンのこれまでを振り返らずにはいられない。
東京都出身、6歳で柔道を始め、東海大浦安、東海大と、日本柔道界の王道コースを歩み、幾多のタイトルを総なめ。2021年には、21年ぶりに日本人として男子100キロ級の金メダルを獲得し、国民的英雄に。
さらに紫綬褒章を受章、バラエティ番組にも引っ張りだこで、“明るいキャラクターと圧倒的実力”を併せ持つ異色の存在として知られてきた。
そんなウルフが、なぜキャリアのすべてを投げ打ち、プロレスへ?
◆理由① 「好きだから」だけでは語りきれない“生きざま”へのこだわり
「なぜプロレスか?」
その問いに対し、ウルフはためらいもなく「好きだからです」と答えた。
しかし、その裏には単なる“憧れ”以上のものがある。
プロレスとは、技術や強さを見せつける場であると同時に、“生きざま”をさらけ出す場所。そこにウルフ・アロンは強烈に惹かれたのだ。
リングの上で、勝敗を超えた“感情”と“物語”を描く。それこそがプロレス。
柔道界で頂点を極めた今、彼が求めたのは、単なる勝負ではなく、人生そのものをぶつけ合う舞台だった。
◆理由② 燃え尽きた五輪、そして次の“挑戦”を求めて
2021年、東京五輪で金メダル。
24年、パリ五輪では7位に終わり、納得できる結果とは言えなかった。
だが、その舞台裏でウルフはすでに次のステージを見据えていた。
「パリが終わったらやり残しのないよう、プロレスの道へ」
言葉通り、すべてをやりきったからこそ、柔道界から一歩踏み出し、新たな闘いへ挑む決断ができた。
満身創痍の柔道キャリアに幕を引き、心から「好き」と言える場所で、人生をかけた新章を刻む。それがウルフ・アロンの選択だった。
◆理由③ 新日本プロレスの“空白”を埋める救世主として
ここで見逃せないのが、新日本プロレスの現状。
オカダ・カズチカがAEW移籍、内藤哲也が退団、そして棚橋弘至社長も引退を表明。まさにスター不在、世代交代の大波が押し寄せている。
そのタイミングで現れたのが、ウルフ・アロン。
圧倒的な実績、フィジカル、トーク力、そして何より“金メダル”という絶対的な肩書き。
新日本にとっては救世主。ウルフにとっては、人生最大の挑戦。この巡り合わせは偶然ではなく、必然だったのかもしれない。
◆理由④ “ストロングスタイルの継承者”としてのプライド
柔道からプロレスへ――この道は決して初めてではない。
坂口征二、小川直也、アントン・ヘーシンク…。歴代の柔道エリートたちが、新日本の「ストロングスタイル」を体現し、リングの歴史を塗り替えてきた。
ウルフ・アロンもまた、その系譜に名を刻むべく、プロレスの門を叩いた。
「生きざまを見せるのがプロレス」
その言葉に、彼の覚悟と、歴史への敬意が滲んでいた。
◆理由⑤ 金メダリストでも安心できない? “収入アップ”の現実的な理由
気になるのは、やはり“収入面”。
柔道界のスター選手であっても、現役生活後の経済的安定は決して保証されない。講演、メディア出演、スポンサー契約が頼りになるが、それもいつまでも続くものではない。
一方で、プロレス界は別世界だ。
新日本プロレスはグッズ売上、PPV、海外興行、スポンサーシップと、活躍次第で桁違いの収入が手に入る。
ウルフ・アロンほどの話題性と実績を持つ選手なら、デビュー戦から注目度抜群。人気と実力を兼ね備えれば、年収数千万円、場合によっては億単位の可能性も現実味を帯びてくる。
好きなことで生きるために、現実的な人生設計としても、プロレスは“理にかなった選択”だったと言えるだろう。
◆運命のデビュー戦は、伝説の幕開けか?
ウルフ・アロンのプロレスデビュー戦は、2026年1月4日、東京ドーム。
新日本プロレス最大の祭典「レッスルキングダム」で、彼はリングの中央に立つ。
「半年間、1秒も無駄にせず準備する」
その言葉通り、これからの半年、ウルフはゼロからレスラーとして自分を鍛え上げる。
五輪王者から、新日本の新たな顔へ。
この挑戦が、単なる転向劇で終わるのか、それともプロレス界に新たな伝説を刻むのか――。
半年後、その答えはリングの上で明らかになる。
コメント