2025年7月6日未明、静岡・浜松の繁華街で、深夜の喧騒を切り裂くような惨劇が起きた。
ガールズバーの店長・**竹内朋香さん(27)と、従業員の伊藤凛さん(26)が、常連客である山下市郎容疑者(41)**にククリナイフで襲われ、命を落とした。
犯人の執念に、理由はほとんど見えない。
だが事件の背後には、凶刃に倒れた竹内さんを「愛する妻」として見送った夫の存在がある。
そして──ふたりの幼い子供たちも、この事件の“被害者”として遺されていた。
■「死んだら終わりだろ!」夫の怒りと喪失の叫び
事件から2日後、竹内さんの自宅を訪れた記者に対し、夫は荒れた口調でこう言い放った。
「死んだヤツはなにも言えないし、死んだら終わりなんだよ!
あなたもそうだろ? 生きてるからうまい飯も食えるんだろ?
彼女は完全に八つ当たり、とばっちりを受けただけだよ。理由なんてあるわけないだろ」
表面的には怒りに満ちた言葉。
しかしその根底には、どうしようもない現実を受け入れられない苦悩が透けていた。
事件は突然だった。
そしてあまりにも理不尽で、誰もが「なぜ?」と問わずにはいられなかった。
夫自身も、何度もその問いを自分に投げかけているのだ。
■ガールズバーの共同経営者──夫は裏方として支えていた
亡くなった竹内さんは、事件現場となったバーの店長。
だが、その店を立ち上げ、支えてきたのは夫だった。
もともと2016年ごろからバー経営をしていた彼が、2023年12月に店舗をリニューアル。
そこで妻・朋香さんとともに、新たにガールズバーをオープンさせた。
夫が経営、妻が現場の中心となり、夫婦二人三脚で夢を形にしていた。
しかしその場所が、突如として最悪の“事件現場”に変わる。
夫にとっては、家庭の一部も壊されたに等しい。
「容疑者と飲んだこともある。でもあくまで“客”だ。
常連客に家族を殺されるなんて、誰が思う?」
そんな思いが、込み上げる怒りとともに吐き出される。
■そして明かされた新事実──「子供が2人いる」
そして、夫が記者に語った中で、ひときわ胸を締め付ける言葉がある。
「子供が2人いる。まだ小さい。
どう説明すればいいのかもわからない。ママがいないことを、どう受け止めさせればいいのか…」
そう──竹内朋香さんにはふたりの子供がいたのだ。
年齢や性別は明かされていないが、「まだ小さい」とのことから、未就学〜小学校低学年ほどと見られる。
突然、母親が帰ってこなくなった現実。
そして、父親も深い悲しみと混乱の中にいる。
家庭という安全圏が、いきなり世界で一番不安定な場所に変わってしまった。
子どもたちは今、どんな思いで過ごしているのだろうか。
そして、夫はその小さな命をどう守り、支えていくのか──
それは、あまりにも重く、そして長い“これから”の物語である。
■夫の素性は?名前非公開の理由
現在、竹内さんの夫については、名前も顔も報道されていない。
これは彼が加害者ではなく、遺族であり、幼い子どもたちを守るための配慮と見られる。
だが取材対応の中で、彼の人間性は確かに伝わってくる。
はじめは言葉少なだった彼も、徐々に心を開き、約30分間、妻への想い、事件への怒り、自分の限界について語った。
「ニュースなんて見ていられない。
今日は友達が朝から晩までついててくれたから、なんとか立っていられる。
それがなかったら、俺だってなにをするかわからない」
この言葉に、ただの“遺族”という言葉では語れない、深すぎる孤独と心の傷が宿っている。
■なぜ竹内さんが狙われたのか?──とばっちりの可能性
捜査関係者によると、容疑者の山下市郎は、もうひとりの被害者・伊藤さんに強い好意を抱いていた形跡がある。
事件の2日前にも食事をしており、親密な関係を妄想していた可能性がある。
何らかのトラブルがあり、伊藤さんを狙った山下容疑者が、店にいた竹内さんにも襲いかかったというのが、現段階での見立てだ。
つまり──竹内さんは、本当に“巻き込まれた”可能性が高い。
「うちの妻は、完全にとばっちりだった。
原因なんてないんだよ。ただ運が悪かっただけ。
でも、そんなのってあるか? そんな終わり方ってあるか?」
夫の言葉に、私たちは答えられない。
■事件は「誰にでも起こりうる」という現実
竹内さんの夫は、最後にこうも語っている。
「今までは、こういう事件が起きても“他人事”として見てた。
でも、自分がその立場になったとき──全部が変わった」
私たちも、いつその“当事者”になるかわからない。
事件は、遠い世界の話ではない。
大切な人を失うという現実が、突然目の前に突きつけられる。
その時、自分は正気を保てるのか──
それを、竹内さんの夫の言葉は問いかけている。
■まとめ:「竹内さんの夫」は、声なき犠牲者であり、父であり、夫だった
この事件の主役は、凶行に走った容疑者ではない。
悲しくも命を奪われた女性たちでもない。
そこに確かにいた「普通の家族」が、いま、世界を失った現実に直面している。
竹内さんの夫は、その中心にいる。
名前は知られなくても、
顔は出なくても、
彼の語った言葉、にじみ出る感情、そして支えるべき“二つの小さな命”が、何よりの証である。
事件の全容解明が待たれる中、
この家族の未来が少しでも希望に近づくことを、私たちは祈らずにはいられない。
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