2024年4月30日夜。静かな山梨の町に、あまりに痛ましい事件が起きました。
勤務先の駐車場で同僚女性の首を絞め、その命を奪ったのは、同じ職場に勤めていた一人の男——小棹将太(おざお しょうた)容疑者。
殺害後、遺体は車で1時間以上も離れた河川敷に運ばれ、闇に葬られました。
報道が進むにつれ、この事件の異様さと不気味な背景が、徐々に明らかになってきています。
交際を拒まれ続けた男の「歪んだ執着」
小棹容疑者は、職場の女性に一方的な恋愛感情を抱いていました。
きっかけは3年前。まだ結婚していた時期に、被害女性に交際を申し込んだものの、あっさりと拒否。
しかし彼の執着は、そこで止まりませんでした。
別れを受け入れるどころか、2022年には職場内で36回にもわたり、女性のスカート内をスマホで盗撮。
さらにはロッカー付近に小型カメラを仕込むという、異常なストーキング行為を繰り返していたのです。
2024年4月には、ついに女性に「ホテルに行きませんか」「一回させてほしい」と迫り、「警察を呼びますよ」と冷たく拒絶されたことが報じられています。
彼の中で何かが崩れたのは、その時だったのかもしれません。
「もう話すことはない」「警察を呼ぶ」——その瞬間、男が下した“決断”
事件当日。上司からセクハラの件で呼び出された小棹容疑者は、女性との関係修復がもう不可能だと悟ります。
「もう元には戻れない」
その結論に至った彼は、午後5時半ごろ、職場の駐車場で女性を待ち伏せ。
仕事を終えて車に向かう女性に声をかけるも、返ってきたのは冷たい一言。
「話すことはない」「警察を呼ぶ」
次の瞬間、彼は背後から女性の首を絞め、声をあげた彼女の口をふさぎ、もがく彼女の命を絶ちました。
感情の爆発というより、計画的かつ冷静な殺意が、そこにはありました。
そして河川敷へ――遺体遺棄の冷静さ
殺害後、小棹容疑者は遺体を車に乗せ、山梨県身延町の大城という山中の河川敷まで運び、そこに遺棄します。
この行動には、衝動とは言い切れない**明確な“隠蔽意図”**が感じられます。
彼はその後、何食わぬ顔で日常に戻ろうとしたのでしょうか。
しかし、犯行から数日後、遺体が発見され、逮捕に至りました。
小棹将太容疑者のプロフィール
では、こんな凶行に及んだ小棹将太とは、どんな人物だったのでしょうか?
- 名前:小棹 将太(おざお しょうた)
- 年齢:36歳(事件当時)
- 出身:福井県鯖江市
- 居住地:山梨県甲府市下飯田4丁目
- 職業:農業信用基金協会の職員
- 所属団体:南アルプス市の青年会議所(JC)に所属
- 性格評:周囲からは「真面目」「おとなしい」印象を持たれていた
いわゆる“普通”のサラリーマン。
むしろ地域社会の中では好印象を抱かれていたような人物だったのです。
家族構成は?
過去には2012年に結婚していたとの情報もあり、事件当時は離婚済みの可能性が高いとされています。
子どもがいたかどうかまでは不明。両親や兄弟姉妹に関する詳細も、公には報じられていません。
ただ、家庭環境が今回の事件にどれほど影響していたのかは、今後の裁判で明らかになるかもしれません。
SNSは存在するのか?
事件後、小棹将太の名前でSNSアカウントを検索する人が急増しましたが、本人と断定できるものは見つかっていません。
Facebookに類似名のアカウントは存在するものの、本人である決定的な証拠には乏しく、InstagramやX(旧Twitter)も非公開、または利用していないと見られます。
ネット上での発信が極端に少なかったことも、周囲が彼の異常性に気づきにくかった要因の一つかもしれません。
弁護側は「突発的」と主張
裁判では、検察側が「明確な殺意」「事前の決意」を強調する一方で、
弁護側は「突然の口論から無我夢中で手を出してしまった」と、あくまで突発的な犯行だったと主張。
しかし、盗撮カメラの設置や、待ち伏せといった一連の行動を見る限り、
“計画性がなかった”とは到底思えないという印象が強く残ります。
「元通りにならないなら殺す」——私たちは何を見たのか
この事件は、ただのストーカー殺人ではありません。
職場という密接な人間関係の中で、一方的な執着がじわじわと膨れ上がり、
その「拒絶されることへの恐怖」と「自分だけの理屈」が暴走した、極めて現代的な凶悪事件です。
「自分の生活の平穏を守るために、相手を殺す」
そんな自己中心的で異常な思考が、身近な場所で誰にも気づかれずに育ち、最悪の形で噴き出してしまった。
これを“他人事”で終わらせてはいけない――そんな強い警鐘を鳴らす、現代の闇が浮き彫りになった事件と言えるでしょう。
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