「まさか、こんな形で終わるなんて…」
プロレスファンならずとも、このニュースには衝撃を受けた人が多いのではないだろうか。
2025年7月9日。
GLEATの中心選手であり、ダブルタイトルを保持していた鬼塚一聖が現役引退を発表した。
今年2月には初のタイトルを獲得し、6月にはタッグ王座も手に入れたばかり。団体内でも勢い・実力ともに申し分なく、「これから」を約束された存在だった。
そんな彼が、なぜ突然リングを降りるのか?
本記事では、発表された事実をもとに、鬼塚選手の電撃引退の裏側について、深掘り・考察していく。
■ “契約違反”という謎
発端は7月4日のGLEATの声明だった。
「鬼塚一聖選手に契約違反の疑いがあるため、無期限出場停止とします」と、突如発表。
プロレス界では珍しくない“無期限”という言葉。しかし、今回は何かが違っていた。
具体的な違反内容が明かされることはなく、「調査中」という言葉が残されただけ。
そして5日後——
GLEATは「契約違反が確定した」とし、次のような重い処分を下した。
- 1年間の選手活動謹慎
- 団体に発生した損害の違反金支払い
- G-INFINITY・G-RUSHの両タイトルの剥奪
- ファンクラブ理事長職の解任
これだけを見ても、ただ事ではないのは明らかだった。
■ 鬼塚の“選択”——処分では終わらなかった
ここで物語は終わらない。
鬼塚一聖はこの処分に対し、自ら「引退」を申し出たという。
処分に納得し、受け入れたうえで、それでもリングに戻る道を選ばなかった。
この事実が、ファンの心に大きな波紋を呼んでいる。
「なぜ、引退までする必要があったのか?」
「彼に何があったのか?」
その答えは、公式には語られない。
GLEATも「刑事事件ではない」「これ以上お伝えできる情報はない」として、沈黙を守っている。
しかし、逆にそれが“重さ”を感じさせるのだ。
言えないほどのこと。それはイメージや信頼にかかわるセンシティブな内容である可能性が高い。
■ 再起不能ともいえる処分の重さ
ここで改めて、処分の内容を整理してみよう。
- 1年の謹慎:レスラーにとっての「1年」は致命的だ。コンディション、勢い、ファンの記憶、すべてが風化する。
- タイトル剥奪:今年初めてつかんだ栄光をすべて失った。
- 違反金:団体に損害が発生したことを意味する。金額こそ明かされていないが、“金銭的責任”まで負わせた点からも深刻度がうかがえる。
- 役職解任:Gファンクラブの理事長という、選手以上の“顔”としての責任も剥奪された。
これだけの処分を受けた選手が、1年後に何事もなかったかのように戻ってこられる世界ではない。
鬼塚一聖は、プロレスラーとしての信用と立場を一気に失ったのだ。
■ 本人の胸中は——「再起を捨てた男の決断」
鬼塚は今年、ダブルタイトルを手にし、GLEAT内で「顔」と呼べる存在になっていた。
実力も、人気も、ようやく形になってきた頃だった。
そんな彼が、謹慎ではなく「引退」を選んだ意味——
それは、おそらく**“再起の可能性を捨てた”という覚悟**だったのではないか。
処分に納得しながらも、リングに戻る未来を描けなかった。
戻っても、あの頃のようには戦えない。信頼も、称賛も、すでに失ってしまった。
その現実を受け入れ、彼は潔くプロレス人生に幕を下ろす選択をしたのかもしれない。
GLEATも彼の意向を「尊重」すると強調しており、裏を返せば引退の意思は揺るぎないものだったと受け取れる。
■ 「信頼」という見えないベルト
タイトルは剥奪された。でも、本当に鬼塚が失ったのは“目に見えないベルト”だったのかもしれない。
それは「信頼」という名の王座。
ファンから、団体から、選手仲間から。
一度失えば、取り戻すのは容易ではない。むしろ、それを取り戻すことができるレスラーは、ほんの一握りだ。
そして、彼はその戦いを放棄した。
ある意味、潔い引き際でもあった。
■ 今後の行方と残された傷痕
GLEATは今後、空位となったタイトルやファンクラブの体制について発表を行うという。
鬼塚の穴を誰が埋めるのか、団体内の勢力図にも大きな影響が出そうだ。
だが一番大きな問題は、ファンの心に残った“疑問”と“もやもや”だろう。
明かされぬ真実。語られない事情。
それでも、「憶測や詮索は控えてほしい」というGLEATの姿勢に、誠実さと同時に情報管理の厳しさが垣間見える。
■ 終わりに:沈黙の中の物語を、忘れない
鬼塚一聖——
彼が何をしてしまったのか、それはもう知る術がない。
だが、彼がどんな道を歩み、どんな夢を追っていたのかは、ファンの目にしっかりと焼き付いている。
契約違反という言葉ひとつで切り取るには、あまりにも劇的で、あまりにも切ない引退劇だった。
きっと彼の名前は、しばらく語られることになるだろう。
憧れも、失望も、どちらも含めて。
だが、確かなのは一つ。
プロレスという世界は、華やかさの裏に、残酷なリアルが常に潜んでいるということだ。
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