関西六大学野球で今、最も熱い視線を集めている男がいる。
大阪商業大学の副主将・蜷川大(にながわ・だい)。その名前は、単なる有望株を超えた「チームの支柱」として、プロのスカウトからも高く評価されている。
だが彼が本当に輝いたのは、野球の技術だけではなかった。
チームを襲った未曾有の危機——監督の不祥事という逆風のなか、彼はチームを背負い、キャプテン以上の覚悟で戦っていたのだ。
■ プロフィール
- 名前:蜷川 大(にながわ・だい)
- 生年月日:2003年11月4日(21歳)
- 出身地:千葉県市原市
- 身長/体重:172cm/80kg
- 投打:右投右打
- ポジション:捕手
- 所属:大阪商業大学(関西六大学野球連盟)
- 背番号:2(大学)
■ 学歴・経歴
学歴
- 市原市立牧園小学校
- 市原市立ちはら台西中学校
- 広陵高等学校(広島)
- 大阪商業大学(経済学部)
野球経歴
- 小学時代:「ちはら台ファイターズ」で野球を始める
- 中学時代:佐倉リトルシニアに所属
- 高校時代:広陵高校で2年秋から正捕手、甲子園出場経験あり
- 大学時代:大商大で1年春からベンチ入り、2年秋にリーグMVP、副主将として活躍中
■ 家族構成について
蜷川選手の家族構成に関する公的な情報は現在公開されていない。
だが彼の言動や精神力、地道な努力の積み重ねからは、「家族からの支え」や「しっかりとした教育」が垣間見える。
ひとつ確かなのは、彼の“背中”には、期待と信頼を託してくれる人々の想いが乗っているということだ。
■ 強肩と頭脳で魅せる、“扇の要”
二塁送球タイムは驚異の1.75秒。遠投120メートル。
その強肩を武器に、大商大の投手陣を支える扇の要・蜷川。
単に肩が強いだけではない。試合を読む力、投手の心理を読む力、ゲームの流れを操る視野の広さ——すべてが揃っている。
「守備の安定感が、試合の安定感に直結している」とまで言われるリードは、まさに司令塔。
自分を消して、投手を立てる。それが蜷川のキャッチャー像だ。
■ バットでも「魅せる捕手」へ
この春、蜷川は主に2番を任されていたが、勝負どころで4番に抜擢されると堂々の活躍。
特に龍谷大学との大一番では、3打数2安打と勝負強さを発揮した。
「追い込まれてからどう打つか。粘って、粘って、最後の1球を仕留めるのが理想です。」
確実性を重視し、自己犠牲もいとわないスタイル。
“打てる捕手”として、着実に進化している。
■ チームを背負う覚悟——副主将としての春
2025年4月。大阪商業大学野球部に激震が走る。
冨山陽一監督が不祥事で突然の逮捕。シーズン途中という最悪のタイミングでの出来事だった。
選手たちは動揺。士気の維持も難しい。
そんな中、蜷川は副主将としてこう語った。
「今、チームとしてうまくいってない。
正直、個人の成績なんて気にしていられない。
”どうやってこのチームを支え直すか”。それが僕の使命です。」
彼の言葉が、チームの空気を変えた。
副主将という立場を超えて、誰よりもチームを思う男。それが蜷川大だ。
■ 大学日本代表候補としての悔しさと収穫
2024年冬、蜷川は侍ジャパン大学代表候補の強化合宿に選出。
全国のトップ選手たちと過ごした数日間は、刺激と悔しさの連続だった。
「打撃も守備も、意識のレベルが全然違う。
”自分はまだまだ”って、すごく思い知らされました。」
だが、それは終わりではなく「始まり」だった。
「このままじゃダメだって気づけた。それだけでも参加した意味は大きかったです。」
全国レベルを知り、心に火がついた。
蜷川は今、さらなる高みを本気で目指している。
■ 泥臭さが、胸を打つ——“心で魅せるキャッチャー”
彼のプレーは派手ではない。ホームランを打ちまくるわけでもない。
だがその一球、一声、一歩には、「本気」が詰まっている。
リードで投手を支え、失点に悔しがり、仲間のヒットを誰より喜ぶ。
ときにチームのために自分を殺す——それが、蜷川大という男だ。
彼の野球には、人の心を動かす力がある。
泥臭い。でも、まっすぐ。だからこそ、かっこいい。
プロの世界でも、そんな男が活躍する日が来ることを、心から願わずにはいられない。
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