プレミアスニーカーといえば、数十万円は当たり前、なかには中古でも100万円を超えるモデルも…。
その市場の熱気を逆手に取った、あまりに巧妙で悪質な詐欺事件が、東京・世田谷区で発覚しました。
「ナイキの偽物スニーカーを本物と偽って売却」──容疑者2人を再逮捕
2025年5月29日。警視庁高井戸署は、ナイキの偽物スニーカーを本物と偽って売却したとして、東京都世田谷区に住む男女2人を再逮捕しました。
逮捕されたのは、いずれも職業不詳の
- 中村浩司(なかむら・こうじ)容疑者(44)
- 三神渚沙(みかみ・なぎさ)容疑者(33)
罪状は、商標法違反および詐欺容疑。再逮捕に至った理由は、2024年1月下旬に都内のリサイクルショップで行われたある取引でした。
「レア物ですよ」と差し出された“偽物”。被害額は20万円
事件の発端は、リサイクルショップへの持ち込み。
2人は**「希少価値が高いナイキスニーカーです」と売却を持ちかけ、なんと2足で約20万円**という高額査定を引き出しました。
しかも、店側が警戒しないようにと提示されたのが──「正規ルートでの仕入れを証明する納品書」。
そう、納品書までも偽造されていたのです。
さらに驚くのは、スニーカー自体も非常に精巧に作られた偽物で、プロの目でも一見して本物と見分けがつかないほどのレベル。
いわゆる“スーパーフェイク”と呼ばれる、高品質な偽ブランド品だった可能性があります。
発覚のきっかけは「ネットの書き込み」
このまま騙されて終わるかに思えたこの事件──しかし、転機は思わぬところからやってきます。
後日、リサイクルショップの店員がネットで検索をかけたところ、
「中村という男にナイキの偽物を売られた」という同様の書き込みが複数ヒット。
不安になった店側は改めてスニーカーを精査。結果は──「完全な偽物」。
被害届が提出され、警察が動き出しました。
実は“再犯”だった?過去にも同様の犯行
さらに調べを進めると、驚きの事実が明らかに。
実は2人は、同じ月(2025年5月6日)にも、別のリサイクルショップ2店にて、偽物スニーカーを7足・計65万円で売却し逮捕されていたのです。
つまり今回は“再逮捕”というわけ。警視庁は、中村容疑者に関して、複数の同様被害の相談が寄せられていることを明かしており、犯行が常習化していた疑いが強まっています。
【プロフィール】浮かび上がる2人の“素顔”
■中村 浩司(44歳)
- 居住地:東京都世田谷区代田
- 職業:不詳
- 逮捕歴:2025年5月6日、29日の2度(いずれも偽スニーカー詐欺)
- 特徴:冷静沈着、店でも自然体でやり取りをしていたという証言もあり、プロの詐欺師のような立ち回り。
■三神 渚沙(33歳)
- 居住地:中村容疑者と同じく東京都世田谷区代田
- 職業:不詳
- 逮捕歴:中村容疑者と共に同じ2件で逮捕
- 特徴:事件当日も中村容疑者と同行。共犯関係は明確。SNS上では過去にスニーカー関連の投稿歴があったとの未確認情報も。
家族構成やSNSなど、さらなる情報は?
現在のところ、2人の家族構成や明確な職業歴、SNSアカウントなどは公表されていません。警察の捜査が継続しており、プライバシー保護の観点もあるとみられます。
ただし、関係者の話によれば、
- 中村容疑者はスニーカー転売に詳しく、かつ常連のフリをして店舗に出入りしていた
- 三神容疑者は”相棒”のように行動をともにしていた
とされており、**ただの一見さんではない“裏の顔”**が見え隠れします。
スニーカーブームが生んだ“犯罪の温床”
世界的にスニーカー市場は過熱しています。
限定モデルは即完売、定価の10倍近い価格で転売されることもザラ。
そんな「金になるスニーカー」は、今や犯罪者にとっても格好のターゲット。
- 偽造工場が海外で大量生産し、SNSやフリマアプリで拡散
- 納品書やタグ、箱まで偽装される
- 店員でさえ騙される巧妙さ
今回の事件はまさにその縮図。「本物そっくりの偽物」を、いかに“本物らしく見せるか”という演出力の高さが恐ろしく、スニーカーマーケットに巣食う闇の深さを感じさせます。
【注意喚起】買う側も「目利き」が求められる時代
被害に遭ったのはプロのリサイクルショップ。つまり、「目利きのプロ」です。
それでも、偽造納品書と“完璧なフェイク”に騙された。
これが意味するのは──
素人が見抜けるわけがない、ということ。
特に最近では、SNSやフリマアプリ経由での個人取引が増加中。
「信頼できる人だから」「評価が高いから」だけで安心せず、
- 専門の鑑定サービスを使う
- 実績ある業者から購入する
- 高額取引には慎重になる
など、自己防衛力も重要になってきます。
今後の捜査と注目ポイント
警視庁は今後、
- 偽物スニーカーの入手ルート
- 他に共犯者がいないか
- 被害者がまだ出てこないか
など、広範囲にわたる捜査を続ける方針です。
ネット上では、「他にも被害に遭った」という声も増えており、今後さらに被害件数が増える可能性も。
締めの一言:スニーカーファンも、業者も、「信じすぎない」ことが最大の防衛策
スニーカーは夢が詰まったアイテム。でもその夢の裏には、金と欲望に絡んだ“闇”がある。
今回の事件が突きつけたのは、「目の前のスニーカーが本物か偽物か、それを信じきることの危うさ」。
フェイクは、見た目だけでなく、人の心にも入り込む。
あなたが次に手に取る一足──それは、本当に“本物”だと言い切れますか?
📍編集部より補足
今後も続報が入り次第、随時お届けしていきます。スニーカー好き、転売ヤー、ショップ関係者、誰にとっても無関係ではいられない今回の事件。次は、あなたの近くで起こるかもしれません。
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