2025年5月17日。
静かな熱狂が、再び舞台に舞い戻ってきました。
結成16年以上の漫才コンビが火花を散らす「THE SECOND〜漫才トーナメント〜2025」。その1回戦でひときわ注目を集めたのが、モンスターエンジンの西森洋一さん。いや、正確に言えば——その“姿”です。
登場するや否や、ネットは騒然。
「え、西森さん白髪!?」
「ロマンスグレーすぎる!」
「貫禄すごい!イケおじ化してるやん!」
「ちょっと渡部篤郎感あるの、わかるw」
かつて黒髪でステージを駆け抜けていた彼が、46歳という年齢にふさわしい“激シブ”なグレーヘア姿で戻ってきた。
その変貌に、賞レースという舞台以上の注目が集まっているのです。
でも、なぜいきなり白髪に?
どうして今、このタイミングで?
そこには、彼なりの“人生の選択”と“芸人としての覚悟”がありました。
■かつての“黒髪の暴れ馬”が、グレーを纏うまで
モンスターエンジンといえば、一世を風靡した「神々の遊び」で一躍人気者に。
シュールで尖ったネタ、鋭いツッコミ、時に哲学的な笑いで“知性派コンビ”とも呼ばれました。
当時の西森さんは、キリッとした黒髪に無精ヒゲというスタイル。
年齢の割に若々しく、エネルギーに満ちた印象がありました。
それが、今や自然な白髪が額を包み、落ち着いた表情とともにステージに現れる…。
まるで別人のように見えた人もいたかもしれません。
けれど、それは「劣化」ではない。むしろ、「進化」でした。
■白髪の理由①:2019年、人生を変えた“あの入院”
西森さんの“見た目”に大きな影響を与えた転機——それは2019年の突然の入院です。
彼は腹腔内膿瘍(ふくくうないのうよう)という、非常に激しい腹痛と発熱を引き起こす病気で緊急入院。
芸人としての活動を一時休止し、治療と療養に集中する生活を余儀なくされました。
このとき、化学薬品への配慮からか、あるいは心身の余裕のなさからか、彼は長年続けていた「白髪染め」をやめたのです。
そのまま退院後も染めることはなく、徐々に自然なグレーヘアへと移行。
そして今——見事に“ロマンスグレー”という新たなアイデンティティを手に入れることになりました。
■白髪の理由②:加齢は「隠すもの」じゃなく「活かすもの」
西森さんは現在46歳。
白髪が出てくるには、ごく自然な年齢です。
むしろ多くの人が共感したのは、「あれ、もしかして今まで染めてただけ?」という気づき。
そう、彼は“急に白くなった”のではなく、“本来の姿を見せただけ”だったのです。
若さにしがみつく芸能人が多い中で、あえて「年齢を活かす」選択をした西森さん。
それが視聴者に“潔さ”や“かっこよさ”として伝わり、拍手喝采を浴びているのです。
■白髪の理由③:ストレスという見えない敵
芸人という仕事は、華やかで自由なように見えて、実は過酷そのもの。
ネタ作り、舞台、テレビ、ロケ、ラジオ…。
そこに加えて「結果を出し続けなければならない」というプレッシャーが常にのしかかります。
しかも西森さんは、相方・大林さんとのコンビ活動が表立って目立たない時期も長く、ソロでの仕事も多く抱えていました。
笑いを求められながら、自分自身の変化や不安と戦う日々。
そんな環境の中で、ストレスが白髪の進行を早めたのではないか…という見方も、決して的外れではないはずです。
■そして今、「年齢を笑いに変える」新しいフェーズへ
ネット上では、西森さんの白髪に対して称賛の声が止まりません。
「白髪なのに若く見えるってどういうこと?」
「逆に色気が出たよね」
「あの落ち着きが漫才に合ってて良かった」
実際、今回のTHE SECONDのステージでは、白髪になったことで表情の深みや声の落ち着きが際立ち、漫才全体に“余裕”と“品格”が生まれていました。
若さだけじゃない。勢いだけでもない。
西森洋一という芸人が、年齢とともに培ってきた“経験値”が、笑いの中にじわりとにじみ出ていたのです。
■まとめ:白髪は「老い」ではなく「物語」
人は、歳を取る。
それは誰にとっても避けられない現実です。
けれど、“どう年を重ねるか”は、自分で決めることができる。
西森洋一さんは、白髪を武器に変えました。
それは単なる髪色の変化ではなく、人生そのものを映し出すような、静かな覚悟の表れだったのかもしれません。
笑いを武器に生きる男が、自らの変化すらも笑いに昇華し、再び大舞台に立つ。
その姿に、私たちはただ驚くのではなく、どこか勇気をもらったような気がします。
ロマンスグレーの西森洋一は、これからどこへ向かうのか。
その白髪の数だけ、笑いがある。そんな未来を、私たちは見届けたいのです。
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