2025年6月20日、梅雨の合間の曇天の下、千葉県松戸市で一つの命が突然、奪われた。
場所はごく普通のアパート。時間は午前11時過ぎ。そこに響いたのは、救急車のサイレンと住民たちのざわめき。
「近所で何かあったのか?」と人々がざわつく中、警察が到着して目にしたのは、血に染まった一人の女性と、荒れた部屋だった。
そしてそのわずか数十分後。
事件現場から少し離れた交番に、ひとりの男が現れた。
「姉を刺しました」と語るその男こそ、被害者の実の弟だった——。
■ 一見、何の変哲もない姉弟。しかしその日、悲劇は起きた。
被害者は、松戸市内のアパートに住む三栖 万莉菜(みす まりな)さん(37歳)。
落ち着いた印象の女性で、近所付き合いも穏やかだったという。日中に人の出入りも少なく、ごく普通の一人暮らし。
だが、その日訪れた“家族”は、突然の恐怖へと彼女を引きずり込んだ。
午前11時すぎ、万莉菜さんは胸など複数箇所を鋭利な刃物で刺され、血を流して倒れているのを発見される。
救急搬送されるも、ほどなくして死亡が確認された。
何が彼女を襲ったのか?犯人は誰か?
警察が慌ただしく動く中、現場から遠くない交番のドアが静かに開かれる。
そこには、自ら足を運び、犯行を“告白”する男がいた。
その名は——三栖 史靖(みす ふみやす)容疑者(33歳・無職)。
■ 容疑者プロフィール:謎に包まれた弟の素顔
史靖容疑者は現在33歳、職業なし。和歌山県出身とみられており、事件当日は新幹線で千葉に向かっていたとされる。
つまり、この凶行は突発的な訪問の中で起きた可能性が高い。
彼自身のSNSアカウントは発見されておらず、過去の交友関係や思想、行動歴についても詳細は明かされていない。
ネット上での発言や日常の“気配”すらない。
まるで現代のネット社会の「透明人間」。その静けさが、かえって不気味に響く。
彼の過去を知る人も少なく、地元・和歌山での暮らしぶりにも注目が集まっているが、今のところ目立ったトラブル歴などは報道されていない。
■ 「姉を刺しました」弟の口から語られた衝撃の言葉
交番に出頭した際、彼はこう語ったという。
「姉を刺したのは間違いありません。でも、殺すつもりはなかったんです」
この供述は、事件の“顔”を一気に変えた。
胸を含む複数箇所を、刃物で何度も刺すという行為。それを「殺意はなかった」と言えるのか?
警察も、この供述には疑念を抱いているという。
この発言の真意はどこにあるのか。衝動的な争いだったのか? それとも計画的な訪問だったのか?
今後の取り調べや精神鑑定で、彼の“心の内側”が明かされることになるだろう。
■ 家族構成と関係性:姉弟の間に何があった?
今のところ公表されているのは、被害者が姉、加害者が弟であるという関係性のみ。
両親の存在や家庭環境、他の兄弟姉妹の有無は一切報じられていない。
ただ、近所の証言では「家族が訪れる姿は見かけたことがない」という声もあり、姉弟の関係は決して頻繁な交流があったものではないようだ。
だからこそ、なぜ突然弟が和歌山から千葉へ訪れ、そして姉に刃を向けたのか——
この点は、今事件最大の謎といってもいい。
■ 事件の背景にある「見えない孤独」と「心の崩壊」
もし仮に、姉弟の間に言葉にできない葛藤があったとしたら?
久々の再会の中で、過去の傷や確執が噴き出したとしたら?
家族という関係は、時に最も近く、そして最も遠い存在になる。
表面上は何もなくても、心の奥底には怒り、寂しさ、嫉妬、絶望…様々な感情が積もっていたのかもしれない。
現代社会において、「無職の30代」「孤立」「家庭内の摩擦」は、決して珍しい構図ではない。
静かに、そして確実に蓄積されたストレスが、ある日“爆発”する。それがこの事件だったのかもしれない。
■ SNSの沈黙が物語るもの
犯人・被害者ともに、今のところSNS上での発言や行動は確認されていない。
InstagramもTwitter(X)も、Facebookも、“事件の兆候”をつかめるような形跡は見当たらない。
ここに、逆に恐ろしさを感じた人も多いのではないか。
叫ぶことすらできず、助けも求めず、ただ「静かに壊れていった」結果が、こうして突然、命を奪う凶行となって現れたのだ。
■ 今後の捜査と裁判で見えてくる真実
現在、警察は弟・史靖容疑者を殺人容疑で逮捕し、動機の解明を急いでいる。
精神的な問題があったのか、計画性はあったのか、家族間のトラブルはどの程度だったのか…。
また、もし精神鑑定により「心神喪失」「心神耗弱」と判断されれば、事件の性質や量刑の重さも大きく変わってくる。
法廷で彼は何を語るのか?
姉との最後のやりとりは、どんな言葉だったのか?
そして、姉はなぜ抵抗できなかったのか?
——今後の裁判で語られる証言が、この事件の“本当の顔”を明らかにしてくれるだろう。
■ 最後に:これは他人事ではない。
「家族間の殺人」と聞くと、どこか異常な事件に思えるかもしれない。
だが、怒りや悲しみ、孤独や絶望が溜まりに溜まったとき、それが“身近な相手”に向くことは少なくない。
それがたまたま、“血のつながった家族”だっただけなのかもしれない。
三栖姉弟に何があったのか?
そして、社会が見逃してきたものは何だったのか?
私たちもまた、この事件を“ただのニュース”として通り過ぎてはいけないのではないだろうか。
▼まとめ:三栖姉弟事件・これまでに分かっていること
項目 | 内容 |
---|---|
事件発生日 | 2025年6月20日 午前11時ごろ |
場所 | 千葉県松戸市のアパート |
被害者 | 三栖 万莉菜(37歳)/弟に胸など複数回刺され死亡 |
容疑者 | 三栖 史靖(33歳・無職)/姉を刺殺し出頭、自供 |
供述内容 | 「刺したが殺すつもりはなかった」 |
家族構成 | 姉弟関係/他家族の詳細は不明 |
SNS情報 | 不明(アカウント確認されず) |
動機 | 現在も捜査中/精神鑑定含め調査へ |
事件の真実が明らかになる日は、まだ先かもしれません。
しかしその断片が、静かに、そして確実に浮かび上がろうとしています。
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