「正直、頭が真っ白になりました」
そんな言葉とともに、突然発表された馬瓜エブリン選手のデンソーアイリス退団。
日本女子バスケ界の顔とも言える存在であり、東京五輪では銀メダル獲得の立役者のひとり。さらに来月に迫るパリ五輪でも日本代表入りが決まっている、今まさに“キャリアのピーク”ともいえるタイミングだ。
その馬瓜エブリンが、たった2シーズンでWリーグ・デンソーアイリスを去ることに——。
本人のコメントからは驚きと戸惑い、そして悔しさが滲み出ていた。ファンとしても「なぜ?」「何があったの?」と疑問を抱かずにはいられない。
そこで今回は、公開された情報をもとに、馬瓜エブリンの退団劇の“裏側”に迫る。
■「更新のオファーなし」…本人も困惑
馬瓜選手がインスタグラムで明かしたのは、次のような衝撃的な内容だった。
「25-26シーズンはデンソーからの更新オファーがもらえず、退団することになりました」
「正直な感想をお伝えすると、困惑しました。この2年間は何だったんだろう、と」
この言葉からも分かるように、今回の退団は本人の希望ではなく、あくまでクラブ側の判断による“戦力外”だ。
馬瓜選手自身も寝耳に水だったようで、「急に頭が真っ白になった」と率直な心境を語っている。
では、なぜクラブは日本代表選手をわずか2年で手放す決断を下したのか。
■【考察1】チームの若返りと戦力再編の波
まず考えられるのが、チームとしての“若返り”や“戦力の再編成”だ。
デンソーアイリスは、女子バスケの強豪として知られつつも、近年はリーグ制覇にはあと一歩届かない状況が続いている。今年4月のプレーオフファイナルでも富士通に敗れ、悲願の優勝はならなかった。
クラブとしては、今のメンバー構成を見直し、新たな世代交代を進めたいと考えた可能性は高い。
特に、馬瓜エブリンは現在30歳。バスケットボール界ではまだまだ若手と言えるが、クラブが数年先を見据えた場合、若手中心のチーム作りへシフトしたい思惑があっても不思議ではない。
■【考察2】内部評価と“誤解”の影
馬瓜選手が投稿の中で、気になる一言を残している。
「モチベーションがないとも言われましたが、モチベーションがなければここまで働けません」
これは、チーム内で「やる気が感じられない」といった評価が一部にあったことを示唆している。もちろん、本人はこれを強く否定しており、事実関係の全容は不明だ。
ただ、プロスポーツの世界では、選手とクラブの間に小さな“温度差”が生まれた時、それが思わぬ形で評価や契約に影響することも珍しくない。
本人が全力を尽くしていても、チームが思い描く“理想像”と少しでもズレが生まれれば、厳しいプロの世界では即「構想外」という決断に繋がるのだ。
■【考察3】代表とクラブで異なる役割のジレンマ
馬瓜エブリンと言えば、東京五輪・パリ五輪と連続で日本代表に選ばれた、日本女子バスケの中心選手。
一方で、代表とクラブでは求められる役割が違うことも多い。代表ではスピードとアウトサイドシュート、フィジカルを活かしたプレーで躍動する彼女だが、クラブではより戦術的なプレーやリーダーシップを期待されたのかもしれない。
その結果、クラブ側が「チーム戦術にフィットしない」と判断した可能性も考えられる。
馬瓜選手自身も「どう3度目の正直を果たすか考えていた矢先」と語っており、本人はリーグ優勝へ強い意欲を持っていたことが伝わってくる。それだけに今回の構想外通告は、あまりにも突然で、本人にとってもショックだったはずだ。
■今後は?「場所が変わっても頑張る」現役続行の意欲
退団発表の最後、馬瓜選手はこう締めくくっている。
「場所が変わっても頑張ります!」
この言葉からも、現役続行への強い意欲がうかがえる。
日本代表の中心選手であり、まだまだ実力的にも最前線で戦える存在だ。
次なる舞台が国内か海外かは現時点で明かされていないが、どこであれ、彼女の情熱とプレーを再び見られる日が近いことは間違いない。
■まとめ:退団の裏にはチームの方針と複雑な事情が絡む?
今回の馬瓜エブリン選手のデンソー退団は、単純なパフォーマンスの問題というよりも、チームの戦略、内部評価のズレ、役割の違いといった、いくつもの要素が絡み合った結果だと考えられる。
ただし、本人の熱い思いや現役続行の意欲は揺るぎない。むしろ、この悔しさを糧に、さらにパワーアップした姿を新天地で見せてくれるはずだ。
今後の馬瓜エブリンの動向から、ますます目が離せない——。
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