北海道函館市の静かな住宅街で、誰もが耳を疑うような事件が起きました。
舞台は市内の美原1丁目。
そこで暮らしていた兄弟が、なんと同居していた父親の遺体を約1カ月にわたり自宅に放置していたとして、死体遺棄の容疑で逮捕されたのです。
なぜ?どうしてそんなことに?
その背景には、やりきれない事情と、地域社会が抱える闇が見えてきます――。
■ 事件の概要:父親の死を“黙って放置”
事件が明るみに出たのは2025年6月2日。
逮捕されたのは、函館市に住む兄弟、**工藤正昭(52歳・とび職)と弟の隆昭(47歳・無職)**です。
2人は今年5月頃から、同居していた**父・幸美さん(83歳)**が死亡したにもかかわらず、適切な手続きを取らず、自宅内に遺体を放置し続けていました。
その期間、およそ1カ月。
遺体に目立った外傷はなく、自然死と見られていますが、すでに腐敗が進んでおり、近隣住民からの異臭の通報で警察が現場に駆けつけ、発覚しました。
■ 「葬式代がなかったんです…」兄弟が語った動機
逮捕後の取り調べで、2人はこう供述しています。
「葬式を出すお金がなかった」
「どうしていいか分からず、そのままにしてしまった」
あまりにも切実で、現代の貧困と孤立を象徴するような言葉――。
長男・正昭容疑者は建設現場などで働くとび職として生活していたものの、収入は不安定。
弟・隆昭容疑者は無職。福祉の支援を受けていた可能性もありますが、家族で支え合う生活だったことがうかがえます。
「父の死」を前にしても、お金も相談できる相手もいなかったという現実が、静かに、そして重く彼らを追い詰めていったのでしょう。
■ 容疑者プロフィール
氏名 | 年齢 | 職業 | 備考 |
---|---|---|---|
工藤 正昭 | 52歳 | とび職 | 長男。家計を支えていた模様 |
工藤 隆昭 | 47歳 | 無職 | 次男。兄と同居。 |
父・幸美さんと3人で暮らしていたこの家族。
近隣住民の話によれば、「静かで目立たない一家だった」「あいさつ程度の関係」とのこと。
家庭内でどんな会話が交わされていたのか、知るすべはありませんが、**“家族3人の世界”**で完結していたことは間違いなさそうです。
■ 自宅の場所は?函館市・美原1丁目の住宅地で…
事件が発覚したのは、函館市美原1丁目。
ショッピングモールや飲食店が並ぶ一角にある、比較的にぎやかな地域ですが、一本路地に入ると一気に住宅街の顔を見せます。
その一角に、3人は暮らしていました。
番地や建物の詳細は報道されていませんが、異臭の発生などから、近隣にも少なからず動揺が走っている様子。
「まさかあの家が…」という声も、当然聞かれたようです。
■ SNSアカウントはあるのか?
現在までの報道では、正昭・隆昭容疑者のSNSアカウントは確認されていません。
FacebookやX(旧Twitter)、Instagramなどに同姓同名のアカウントは存在するものの、本人と特定されたものは見つかっていないため、無闇な特定や拡散は避けるべきです。
ただし、無職だった隆昭容疑者がネット上に活動の痕跡を残していた可能性はゼロではなく、今後の調査で明らかになることも考えられます。
■ 背景にある“孤立と貧困”、そして地域社会の見えない壁
この事件を通じて見えてくるのは、「遺体遺棄」という犯罪そのものよりも、**なぜそんな選択しかできなかったのか?**という、背景にある社会のひずみです。
葬儀費用は平均で20〜30万円、簡素な直葬でも10万円前後。
「今すぐその金額を出せる人」が、日本では決して多数派ではありません。
頼れる親戚もおらず、生活に余裕もなく、自治体に相談するすべも知らない。
そんな“情報と人との断絶”が、父の死にすら目をつぶらせた――。
兄弟は確かに法を犯しました。しかし、それは冷酷さではなく、無知と孤独から来た判断だったとも言えるかもしれません。
■ まとめ:罪と現実のあいだで
「遺体を放置した」という行為は、もちろん許されるものではありません。
けれどその裏には、見えづらい“生活苦”と“社会的孤立”の現実が色濃く浮かび上がっています。
報道されないところで、同じような問題に直面している人は決して少なくないはずです。
今回の事件が、その現実に光を当てる一歩となることを願ってやみません。
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