2025年5月――ネット配信界のレジェンド、金バエがこの世を去った。48年の波乱に満ちた生涯だった。
破天荒、過激、そしてどこか人間くさい。
彼の存在は常に賛否の中心にありながらも、なぜか目を離せない。誰よりも泥臭く、誰よりも自分をさらけ出し、そして誰よりも多くの視聴者に影響を与えた男。この記事では、彼の生き様、病気、死因、そして周囲との関係まで、細部にわたって振り返る。
■プロフィールから見える「普通じゃなさ」
- 本名:山崎誠
- 生年月日:1977年3月4日
- 出身:愛知県春日井市
- 職業:無職(動画配信者)
- 身長:172cm
- 学歴:中卒
金バエは、自分を飾らない人間だった。配信中に自分の過去、家族、借金、アルコール依存――あらゆるものをさらけ出してきた。学歴がないことも、社会にうまく溶け込めなかったことも、すべてを「ネタ」に変えながら、彼はネットの海で生き続けてきた。
■家族との軋轢、そして絆
「母親に100万円送った配信者」――かつてそんなタイトルの動画が話題になった。あれは金バエだった。決して裕福ではなかった家庭環境。父はトラック運転手で早くに他界し、母とは幾度も衝突を繰り返した。
だが、心の底ではずっと家族を愛していた。酒で暴れ、警察沙汰になった夜も、彼の言葉には「母ちゃんごめん」という後悔が滲んでいた。
■ネット配信者としての金バエ
配信デビューは2011年。ニコニコ生放送が今よりもっと“無法地帯”だった頃だ。
金バエは最初から違っていた。居酒屋からの泥酔配信、コンビニでのトラブル生中継、ホームレスとの語らい、警察との応酬。普通なら「放送事故」レベルの出来事を、彼は“日常”として配信していた。
視聴者数が跳ね上がるたびに、彼はさらに一歩踏み込んだ。誰も真似できない“リアル”を届けることに、命を削っていた。
■数々のトラブルと「炎上の先の人間味」
彼の配信はいつも炎上寸前だった。いや、実際に何度も燃えていた。
視聴者との口論、他配信者との泥試合、女性問題、詐欺まがいの企画。だが不思議なことに、金バエには“本物”の空気があった。
「なんだこいつ」と思いながら、気づけばまた見てしまう。憎めない。
むしろ、どこかに「こんな人、身近にいたよな」という感覚を呼び起こす。
■病気と余命宣告――命のカウントダウンをさらけ出した男
2023年9月。金バエは医師から「もう1年はもたない」と言われた。
アルコール性肝硬変。腹水が溜まり、黄疸で肌は黄色く変色。内臓から静かに蝕まれていく現実を、彼はカメラの前で赤裸々に語った。
誰もが「もうやめて休め」と願った。だが彼は続けた。
「もう先は長くない。でも俺は最後まで配信する」
その言葉に、視聴者の中には本気で涙を流した者もいた。
■最期の支えとなった「真央さん」との結婚
2024年12月。真央さんとの入籍。
金バエは配信でその報告をし、照れくさそうに「俺、結婚した」と語った。
自称18歳の大学生という彼女は、彼の病室に付き添い、点滴の管理まで行っていたという。
「真央がいなかったら、俺もう死んでたよ」
その言葉がすべてを物語っていた。
■そして2025年5月、金バエ死去
静かに――だが、確実にその日はやってきた。
死因はアルコール性肝硬変による多臓器不全と見られている。長年の無理が祟り、医師の制止も聞かず、限界まで生き抜いた。
彼の最期を報じた記事には、様々なコメントが寄せられた。
「嫌いだったけど、涙が出た」
「ありがとう。ずっと見てたよ」
「伝説は終わらない。記録に残った」
■金バエが遺したもの
金バエはスキャンダルまみれだった。
社会的には落第点だった。
だが、彼には“生き様”があった。
誰よりも不器用で、誰よりも飾らなかった男が、ネットという荒野で見せてくれたリアル。
それは、誰かにとっての「自分と同じように生きてる人」だったのかもしれない。
彼が配信で何度も口にしていた言葉がある。
「俺は、俺のままでいいんだ」
その姿勢こそが、彼が多くの人に影響を与えた理由だった。
■おわりに:さよなら金バエ、ネット配信のレジェンドへ
彼の人生を一言で表すなら、“濃すぎる”だった。
過ちも、後悔も、笑いも、涙も、全部詰まった48年。
人はなぜ彼に惹かれたのか。それは、どんなに酷くても、どんなに破滅的でも、そこに「人間の真実」があったからだろう。
金バエ。あなたの生き方は、忘れません。
どうか、天国では酒を控えて――少しは、安らかに。
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