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上方落語協会:性被害セクハラ加害者は誰?名前の特定は?

静かな寄席の舞台裏で、誰にも言えない苦しみを抱えていた――。

上方落語協会に所属していた若手女性落語家が、同じ協会内の40代男性落語家から性被害を受けたとして、慰謝料約780万円を求める民事訴訟を起こしていたことが明らかになりました。

表では笑いを届ける落語の世界。その裏で、若き女性が夢と尊厳を奪われていたというショッキングな内容に、業界内外で波紋が広がっています。

酔わされ、ホテルに連れて行かれた夜

裁判で女性側が語った内容は、あまりに生々しいものでした。

2017年、当時20代だった彼女は、同じく落語家である男性(当時40代)が経営する大阪市内の飲食店で酒を飲んでいたところ、酩酊状態に。まともに歩けないほどの状態になった彼女を、男性はそのままホテルへと連れて行き、性的暴行を加えたとされています。

しかもその後も、男性は落語会の舞台袖や楽屋でわいせつ行為を繰り返したというのです。

やがて女性はPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症。舞台に立つこともできず、約5年間、落語家としての活動を断念せざるを得ない状態に追い込まれました。

「夢だった落語の世界から、私は追い出されたんです」

彼女は、そう絞り出すように語りました。

被告男性は全面否定「彼女の方からキスしてきた」

しかし、被告となった男性落語家の言い分は、真っ向から食い違います。

彼は、「ホテルに行くことを提案したのは女性の方」「彼女からキスをしてきた」などと主張。さらに、ホテルを出た直後、女性から送られてきたというLINEメッセージ――

「本気で好きにならない方がいいですよね?」

――といった文面を証拠として提出し、性行為は同意のもとだったと強調しています。

またその後も、女性から何度か好意を匂わせるLINEが届いたとして、「彼女の証言は信用できない」と断言。舞台袖でのわいせつ行為についても全面否定しています。

「あのLINEは、本心じゃない。恐怖から出た“自己防衛”」

これに対して女性側は、「性被害を受けた直後、人はしばしば加害者に迎合する態度を取ってしまう」と反論。

「恐怖で逆らえなかったんです。LINEは自己防衛。本心なんかじゃない」

精神的に追い詰められていた彼女は、加害者に“気に入られる”ことで、これ以上の被害を避けようとしていた。そんな心理状態だったと訴えています。

裁判当日、メディアの取材に応じた彼女はこう語りました。

「あの時は、何が起きてるのか理解できなかった。現実感がなかった。
でも、いまは悔しさと怒りしかありません」

そして今もなお、彼女は本来立っていたはずの舞台には戻れていないのです。


目次

加害者の落語家は誰なのか?

実名が伏せられ続ける“奇妙な沈黙”の正体

読者の多くが、こう思ったことでしょう。

「その加害者落語家って、いったい誰なの?」

しかし、報道ではいまだ実名は明かされていません。事件からすでに数年が経ち、裁判も進行中であるにも関わらず、被告男性の名前、芸名、顔写真などは公表されていないのです。

これはなぜなのか?
その背景には、いくつかの事情が複雑に絡み合っています。


1. 民事裁判であるがゆえの“匿名扱い”

今回の訴訟は刑事事件ではなく民事裁判です。つまり、加害者が逮捕されたわけではなく、損害賠償を求める訴訟を起こしているにすぎません。
民事では、原則として加害者の名前を報じる必要がなく、メディアも慎重な姿勢を取ることが一般的です。


2. 被害者保護と“二次加害”のリスク

名前が公表されれば、当然「その人と関わりのある人物」――つまり被害女性の特定リスクも高まります。
日本の芸能界や伝統芸能の世界は狭く、名前を伏せていても、所属団体や当時の人間関係から芋づる式に身元が割れてしまう恐れがあります。

そのため、被害者を守るために、加害者の名前も出せないという、なんとも歯がゆい構図が生まれているのです。


3. 業界の“沈黙の文化”と報道への圧力

上方落語協会は、言わずと知れた伝統ある組織。そこには上下関係や派閥が根強く存在し、内部の不祥事が公になることを極端に嫌う文化があります。

こうした組織では、仮に問題が起きても**“揉み消す”文化が暗黙で存在している**ことも多く、被害者が声を上げたとしても「波風を立てるな」と封じ込められるケースが少なくありません。

女性は「協会に訴えても、まともに取り合ってもらえなかった」と語っています。


4. 業界内では“誰のことか”既に分かっている?

現在、報道されている情報を整理すると――

  • 2017年当時40代
  • 上方落語協会所属
  • 大阪市内で飲食店を経営
  • 若手女性との関係があった

――この条件に当てはまる人物は、それほど多くはありません。
業界関係者の間では、すでに「誰のことか」は暗黙の了解になっているという声も出ています。

それでも実名が出てこないのは、守られているのか、黙殺されているのか――いずれにしても、落語界が抱える“沈黙の構造”が浮き彫りになっています。


「もう一度、落語家として生きたい」――女性の叫び

夢を叶えたはずの落語の世界で、心と身体を傷つけられた彼女。
それでも彼女は、訴えます。

「周囲の誤解を解いて、また舞台に戻りたいんです。
声を上げたのは、自分を取り戻すためでもあるし、
同じように苦しむ誰かの希望になれたらと思ったからです」

この裁判は、彼女個人の戦いであると同時に、「声を上げることがどれだけ難しく、どれだけ大切か」を社会に突きつけています。

落語界の、そして芸能業界の“沈黙のタブー”に風穴が開く日は来るのか。
注目の裁判は、まさにいま、法廷の中で続いています。

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