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鎌田東二の死因は?結婚相手:は?子供はいる?

2025年5月30日、京都の夕暮れ。静かな街の片隅で、一人の偉大な思想家がこの世を去りました。
宗教学者・鎌田東二さん──宗教と芸術、学問と感性、理性と霊性をつなぎ続けた唯一無二の存在が、盲腸がんのため74歳で永眠されました。

その死は、静かで、けれども重く、深い問いを私たちに残します。
「生きるとは何か」「死とは何か」
まさに、彼が一生をかけて探求してきたテーマそのものでした。


目次

■ 学歴──“神道”との出会いが運命を決めた

鎌田東二さんは、徳島県出身。
1973年に國學院大學文学部神道学科を卒業し、1975年に同大学院神道学専攻修士課程を修了。
博士課程にも進み、単位取得退学という形で学問の現場からフィールドへと身を投じていきました。

日本古来の精神文化を土台に、西洋哲学や民俗学も横断しながら、鎌田さんが選んだのは「神道という視点から人間を見つめ直す」という生き方。
そのスタートは、國學院での学びにありました。
学歴はただの肩書ではなく、彼にとって“命の問い”と出会う原点だったのです。


■ 盲腸がん──静かに進行する“見えない死”

報じられた死因は「盲腸がん」。
あまり耳慣れないがんかもしれませんが、大腸がんの一種で、症例数は少なく、発見が遅れやすいことで知られています。
初期にはほとんど症状がなく、違和感に気づいたときには進行していた……そんなケースも少なくありません。

鎌田さんが病を公表することはありませんでした。
おそらく、それは“死”を騒がず、特別視せず、日常の延長として静かに受け入れるという姿勢の現れだったのでしょう。

そして、最期の場所は病院ではなく「自宅」。
研究の本棚に囲まれ、詩を紡いだノートや、音を奏でた楽器が置かれた空間での旅立ち──それはまさに、彼にとって最も“生命に近い場所”だったのではないでしょうか。


■ 喪主は長男・龍明さん──家族が見守った静かな別れ

鎌田さんの葬儀は、親族のみで執り行われました。
喪主を務めたのは、長男の龍明(たつあき)さん。
公には多く語られていない家族のこと。しかし、「父・東二」を最も近くで支え、見送った家族の存在があったことは確かです。

詩人としても活動していた鎌田さんは、“人と人のあいだ”を何よりも大切にしていた方。
彼の思想には、どこか「父としての眼差し」「家族を包むあたたかさ」が感じられます。
その感性は、きっと家族との日常の中から育まれてきたものでしょう。


■ 「学者」ではなく「現代のシャーマン」

鎌田東二という存在を、単に“宗教学者”と呼ぶにはあまりに言葉が足りません。
彼は、宗教哲学や民俗学の研究者であると同時に、詩人であり、音楽家であり、パフォーマーでした。

京都造形芸術大学(現・京都芸術大学)、京都大学などで教鞭をとりながらも、現場にこだわり、感じたものを「言葉」と「音」で伝え続けてきました。

ときに山伏として修験の現場に立ち、ときに舞台で和太鼓を打ち鳴らす。
理論ではなく、身体を通して霊性を表現するその姿に、多くの人が「現代のシャーマン」を重ねたのです。


■ 言葉よりも沈黙が語るとき──最期の「詩」

東日本大震災後、鎌田さんは「臨床宗教師」としても活動しました。
被災地や病院、終末医療の場で「ただそこにいる」ことの意味を問い続けた彼。
だからこそ、今回の“静かな死”には強いメッセージがあるように感じます。

それは、人生の最後においても「語らずに伝える」という選択。
自宅という最も個人的な空間で、誰に見られることもなく、命を閉じる──
その沈黙こそが、鎌田東二という人間が私たちに遺した、最も深い「詩」なのかもしれません。


■ 今こそ読み返されるべき、鎌田東二の言葉たち

「宗教とは何か」「人はどこから来て、どこへ向かうのか」
鎌田さんの著作は、この問いに真っ向から向き合った記録です。

たとえば『神と仏の出逢う国』では、神道と仏教の融合を文化的・精神的に探り、
『言霊の思想』では、日本語の根源に宿る“響き”に迫りました。

今、彼の死を知った多くの人が、彼の著作を手に取り直しています。
そこには、人生の答えは書かれていないかもしれません。
けれども、深く問いかける“声”が、確かに息づいています。


■ 終わりに──「見送る私たち」こそが遺された作品である

鎌田東二さんが遺したもの。それは、書物や論文だけではありません。
彼と出会い、彼の言葉に耳を傾け、心を動かされた「私たち」こそが、彼の思想の延長線上にいるのです。

現代における“宗教の意味”を、実践と感性で探り続けた唯一無二の存在──
鎌田東二さんの旅路に、心から敬意を表します。

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