「間違っていなかった──そう思えた一日でした」
誰もが夢見る“初優勝”。
でも、それを手にするまでの道のりは、決して平坦ではなかった。
2025年6月1日。
**グランディ鳴門GC36(徳島)で行われた国内女子ゴルフ「リゾートトラストレディス」最終日。
首位タイからスタートした稲垣那奈子(24)**が、2バーディ・3ボギーの「73」でスコアを落としながらも、通算7アンダーで逃げ切り、ツアー初優勝を飾った。
スコア以上に価値がある、重みのある1勝だった。
◆ 静かなる躍進──埼玉県川口市出身・“知性派ゴルファー”の素顔
稲垣那奈子。
2000年8月24日、埼玉県川口市生まれ。
ゴルフを始めたのは10歳。決して早熟な天才型ではなかったが、誰よりも丁寧に積み上げてきた。
学業と競技を両立し、進学先は早稲田大学。
「どちらも中途半端にしたくない」と話すように、徹底した自己管理で文武両道を貫いてきた彼女の姿は、関係者の間でも一目置かれていた。
そして2023年11月。23歳でプロテストに合格。
12月にはJLPGA96期生として正式入会し、QTランキング47位から2025年ツアーへと挑戦の舞台を広げていた。
◆ 初優勝の舞台裏。「すべてが糧になった」と涙をこらえた表彰式
最終日は簡単な流れではなかった。
追い風の中、序盤からプレッシャーは容赦なく襲いかかる。2バーディ・3ボギーとスコアはわずかに落としたものの、精神力と状況判断力で逃げ切り、通算7アンダー。同スコアのライバルたちを振り切っての優勝だった。
そして迎えた表彰式。
スピーチの中で、彼女はふと声を詰まらせた。
「両親は常に私をサポートすることを一番に考えてくれていて…」
静かに、言葉を選ぶように話す姿は、まさに稲垣那奈子そのものだった。
これまでの挑戦と葛藤、そして支えてくれた家族への思いが、そこに詰まっていた。
「これまでのゴルフ人生でいろいろなことがありましたが、この試合で初優勝できたことで、全てが糧になっていて、間違っていたことはないんだなと感じています。」
この言葉が、多くのファンの胸を打った。
◆ 技術ではなく、“心の整え方”が彼女の武器
ゴルフはメンタルのスポーツ。
自分を見失った瞬間、すべてが狂う。
稲垣はそれを誰よりも理解している。
だからこそ彼女のプレーは、どんな時も静かで、美しい。
「私は感情的になるタイプではないけれど、冷静さと無感情は違うと思う。しっかり感情を感じたうえで、それを自分の味方にして戦えるように、心を整えることが大事なんです。」
その言葉通り、最終日もミスを引きずらず、プレー中の表情は終始冷静だった。
淡々としたその姿に、観客からは「貫禄すら感じた」と声が上がった。
◆ 外見はクール、でも中身は人情家。ミズノ&ルコックを着こなす“品あるゴルファー”
クラブとシューズはミズノ契約、ウェアはルコックスポルティフ。
流行に媚びないシンプルで上品なスタイルが、彼女の知的な空気感と見事にマッチしている。
身長164cm、血液型はB型。
好きな色はピンク。
趣味は音楽鑑賞とドライブ。
普段はクールに見られがちだが、インタビューではよく笑い、時には涙も見せる。勝っても負けても驕らず、言葉に誠実。そんな彼女の人柄が、じわじわとファンの心をつかんでいる。
◆ 家族との絆が生んだ勝利──非公開でも“温度”が伝わる関係
両親をはじめとした家族構成は非公開ながら、スピーチで語られた言葉から、その関係性の温かさがにじみ出た。
「両親はいつも私のことを最優先に考えてくれていた」
その言葉は、いわばこの優勝の“真の支え手”は誰だったかを静かに伝えていた。
彼女のように“派手に語らない”選手が家族のことを涙ながらに語るとき、それがどれだけの感謝と敬意を意味しているかは、見る人の心にしっかり届いたはずだ。
◆ 気になる恋愛事情は?いまは「ゴルフにすべてを注ぎたい時期」
気になる恋愛・結婚事情についてだが、現時点では交際・結婚ともに公表なし。
SNSもプライベート感のある投稿はほとんどなく、まさに競技に全力集中している状態。
ただ、趣味のひとつであるドライブでは「音楽を流しながら一人で長距離移動する時間がリラックスできる」と語っており、パートナーよりもまず“自分の感性”を大切にしている印象。
いずれ恋愛も話題になるかもしれないが、今の彼女には、ゴルフという名の“人生の恋人”がいるのだ。
◆ 稲垣那奈子・プロフィール完全まとめ(2025年6月版)
項目 | 内容 |
---|---|
名前 | 稲垣 那奈子(いながき・ななこ) |
生年月日 | 2000年8月24日(24歳) |
出身地 | 埼玉県川口市 |
身長 | 164cm |
血液型 | B型 |
出身校 | 早稲田大学 |
ゴルフ歴 | 10歳〜 |
プロテスト合格日 | 2023年11月3日 |
JLPGA入会日 | 2023年12月1日(96期生) |
所属 | 三菱電機 |
契約クラブ・シューズ | ミズノ |
契約ウェア | ルコックスポルティフ |
QTランキング | 47位(2025年JLPGAツアー出場資格) |
初優勝 | 2025年6月 リゾートトラストレディス(通算7アンダー) |
スポーツ歴 | スキー、水泳、器械体操 |
趣味 | 音楽鑑賞、ドライブ |
好きな色 | ピンク |
家族構成 | 非公開(支えあり) |
恋愛・結婚 | 交際・結婚情報なし(現時点では独身) |
◆ 静かに強く、そして美しく。
稲垣那奈子の物語は、ここからが“本番”だ
1勝は、通過点にすぎない。
彼女が目指しているのは、2勝目でも、3勝目でもなく、“生涯を通して記憶に残る選手になること”。
そのために、彼女は今日も静かに自分を磨き続けている。
そして、きっと次のステージでも、また誰かの心を打つだろう。
そのプレーに、嘘はない。
だからこそ、信じたくなる。
稲垣那奈子。彼女の名前を、どうか忘れないでほしい。
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