あなたは「郡司真子(ぐんじ・まさこ)」という名前を聞いたことがあるだろうか?
SNSでジェンダーや性教育の話題が盛り上がるたび、その鋭いコメントが引用される。称賛の声とともに、炎上や誹謗中傷の嵐に晒されながらも、一歩も引かない──彼女は、ただの活動家ではない。「構造と闘う声を持った人間」だ。
今回は、そんな郡司さんの壮絶な歩みと思想の核を、丁寧に、しかしドラマチックに紐解いていく。
■ プロフィール
- 名前:郡司 真子(ぐんじ まさこ)
- 出身地:兵庫県西宮市
- 職業:元記者/社会運動家/フェミニスト
- 肩書:女性スペースを守る会 代表、性暴力・性被害サバイバーの支援者
- 活動内容:性暴力被害者支援、AV出演被害救済の法整備提言、女性スペース保護運動、性教育の見直し運動、SNSでの啓発活動
彼女は、ただの“声を上げる人”ではない。自らも被害者でありながら、他の被害者の「声にならない声」を拾い、社会に訴え続ける実践者だ。
■ 学歴とキャリアの歩み
郡司さんは、兵庫県立西宮北高校を卒業後、神戸薬科大学薬学部に進学。薬剤師という安定した道が開けていたが、彼女はそこに満足しなかった。
「人のこころと向き合いたい」「社会の仕組みに切り込む言葉を持ちたい」
そんな想いから報道の道に進み、20代で地方テレビ局に就職。長崎で警察担当の記者として勤務することになる。
しかし、このキャリアの出発点で、彼女の運命は大きく狂う──。
■ 性被害という衝撃──信じていたものに裏切られた夜
ある日、警察幹部から性的暴行を受ける。公権力の中枢にいる者からの加害。絶望と混乱のなか、上司に相談するも、返ってきたのは冷たい言葉だった。
「この経験を成長の糧にしろ」
──彼女は、組織にも社会にも見捨てられた。心身を病み、退職を余儀なくされる。
でもここからが郡司真子の真骨頂だ。「黙らされる側」から「声を上げる側」へ。彼女の“第二の人生”が始まった。
■ SNSという戦場で、「本音」を撃ち込む
郡司さんがTwitter(現X)で声を上げ始めたのは、性暴力やジェンダー不平等への怒りからだった。ときに過激、ときに鋭すぎる言葉たち。しかしそのどれもが、現場のリアルに裏打ちされている。
「表面だけの“きれいごとフェミニズム”では、誰も救えない」
そう感じた彼女は、タブーや政治的配慮を恐れず、被害者の声を代弁するようになる。フォロワーは急増し、やがて彼女の投稿が社会を動かすようになっていく。
■ AV出演被害救済法──「足りない」の一言が、社会を刺した
郡司さんは、AV出演に関する契約が「実質的に同意とは言えない」ケースを多く見てきたという。未成年者、PTSDを抱える人、社会的に追い詰められた女性たちが、搾取されていく現実。
彼女は法律の制定段階から「これは加害構造を温存するだけ」と警鐘を鳴らし、修正を求める署名活動を主導。何度も法務省に足を運び、記者会見で声を上げ続けた。
■ 包括的性教育への違和感──「快楽ばかり語って、リスクを教えない」
郡司さんは、性教育の現場に潜むもう一つの「偏り」にもメスを入れる。
「性の快楽」や「自己決定権」ばかりを強調し、性感染症、依存症、性加害、そして“断る力”を教えない──この現状が、むしろ子どもたちを危険に晒しているという。
彼女は、自身の活動を通じて「現場の声」を集め、性教育の見直しを社会に訴えている。
■ 女性スペースとトランスジェンダー問題──激論の最前線へ
郡司さんは、「女性専用スペースを守る会」の代表として、女性が安心できる空間の維持を訴える。
女性更衣室やトイレ、シェルターなどに、性自認のみを根拠にした入場を認めることへの懸念を表明。「それが女性にとっての恐怖や不安につながるなら、慎重になるべき」と主張する。
この姿勢はSNS上でも大きな議論を呼び、彼女を支持する声と批判する声が真っ向からぶつかっている。
■ コンビニのエロ本撤去運動──“小さな暴力”を可視化せよ
また、コンビニに並ぶエロ本の撤去を求める活動にも関わってきた。
郡司さんは、「子どもが簡単に目にする場所で、女性を性消費する表現が無秩序に流れていることは、無意識の性差別の温床だ」として、業界に改善を求めている。
■ 家族構成──支え合う家族の存在
郡司真子さんは、既婚者であり、2人の子どもがいます。2023年時点で、子どもたちは21歳と18歳になり、成人を迎えています。
また、彼女には障害のある兄がいます。彼女は、自身が「きょうだい児」であることを公表し、家庭内での役割や支援の在り方についても発信しています。
これらの家族との関係性が、彼女の活動や考え方に影響を与えていることは間違いありません。
■ “声を奪われた人”が、“社会を変える声”になるまで
郡司真子さんの生き方は、まさに「静かな革命家」と言える。
被害者であることに甘んじず、むしろその痛みを武器にして制度と戦う──。彼女の発信は、多くのサバイバーに勇気を与え、同時に社会に厳しい問いを突きつけている。
【あとがき】郡司真子という“現象”は、まだ終わらない
あなたの周囲に、“声を出せない誰か”はいないだろうか。
郡司さんの活動は、そうした人々のためにある。彼女の怒り、苦しみ、言葉、そのすべてが、社会の「当たり前」に揺さぶりをかけているのだ。
そして彼女は、これからも問い続けるだろう。
「この社会、本当に“まとも”ですか?」
コメント