「この日、この番号で買えば、あなたは億万長者になりますよ」
そう告げられたら——あなたは信じてしまうだろうか？
東京都と埼玉県に住む男女8人が、まさにその“夢と欲望”を逆手に取り、一般人から総額5,000万円をだまし取っていたという衝撃の事件が発覚。2025年6月4日、警視庁捜査2課が詐欺容疑で一斉逮捕に踏み切った。
その手口は、まさに“現代型占い詐欺”の決定版とも言える巧妙さだった——。
◆ 占い？宝くじ？信じたくなる「甘いワナ」
事件の発端は、熊本県に住む70代の女性。ある日、彼女のもとに届いた1通のメール。「あなたの運気を高めるお祈りをしています」といった言葉とともに、リンクが添付されていた。
誘導されたのは、「占い館」と名乗るインターネットサイト。そこでは「天神福寿」「聖イシス」など、いかにも神秘的な名前の“占師”たちが、特別な鑑定を持ちかけてくる。
中でも被害女性は、「宝くじの当選番号が視える」「当たりやすい日が分かる」といったメッセージに強く惹かれ、徐々に心を掴まれていった。
そして気がつけば——
鑑定料名目で350回以上、振り込んだ金額はなんと約750万円。
◆ 逮捕されたのは“職業不詳”の男女8人
警視庁が逮捕したのは以下の8人。いずれも、職業は不詳。彼らの背後には、組織的かつ分業された詐欺ネットワークがあったとされる。
主犯格（指示役）
- 青木 雄也（44歳）：東京都板橋区舟渡1丁目在住
- 佐野 誠（42歳）：東京都新宿区百人町2丁目在住
実行役（やりとり・出金担当など）
- 年齢：39〜47歳
- 居住地：東京都および埼玉県内
- 詳細な氏名や住所：現在非公開
青木・佐野の2人は、主にグループを統括する“指示役”とみられ、他6人は被害者とSNSやメールで連絡を取ったり、入金された現金を引き出したりする“実動部隊”だった。
◆ 被害は全国に広がる…総額5,000万円超！
捜査関係者によると、彼らの詐欺グループは2023年8月頃から活動を開始。これまでに全国で少なくとも10人以上が被害に遭い、その被害総額はおよそ5,000万円にのぼるという。
いずれの被害者も、「宝くじで人生を変えたい」という希望にすがった結果、長期にわたり少額ずつ振り込みを繰り返していたケースが多い。
一度振り込めば、そこから抜け出すのは難しい。
「もうすぐ当たる」と希望を繋がれ続け、気づいたときには貯金が尽きていた——。
◆ プロフィールは？家族は？——その素顔は謎のまま
逮捕された8人について、現在わかっているのは年齢や大まかな居住地のみ。職業はすべて「不詳」とされ、報道でも家族構成や詳細な自宅住所については一切触れられていない。
また、SNSアカウントなどの情報も現時点では不明で、一般には公開されていない。
一部関係者の話では、身元や生活環境について「かなり慎重に隠していた可能性が高い」とされ、警視庁もグループの全容解明に向けて捜査を続けている。
◆ 騙されるのは“情報弱者”ではない。誰でも落ちる罠だった。
「こんな詐欺に騙されるなんて…」と思う人もいるかもしれない。
でも、そう思っている人こそ危ない。
このグループは、「当選確率」「開運」「霊的な力」といった、誰もが心を動かされやすいワードでじわじわと心理的に追い込んでくる。しかも、決して一気に高額を請求するのではなく、数千円から始め、徐々に金額を吊り上げる。この“少しずつ奪う”手口こそ、現代詐欺の真骨頂だ。
◆ 今後の捜査の行方に注目
現在、警視庁は8人の認否を明らかにしておらず、今後の捜査でさらに余罪が浮上する可能性もある。
一方、被害者の中には「もう返金は諦めている」「怒りよりも虚しさが残った」と語る人も。
——「当たる番号」を探す前に、まずは“当たらない罠”に引っかからない心構えが求められているのかもしれない。
あなたの“欲”を狙う罠は、いつもあなたのすぐそばにある。
どうか、この事件を他人事だと思わず、自分自身の“防御力”を改めて見直してほしい。
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