あの2人は、いつも一緒だった。
リンクで競い、プライベートでは旅をし、笑い合い、時には涙も分かち合った。
日本フィギュアスケート界を語るうえで、この2人の存在は欠かせません。
浅田真央。
村上佳菜子。
誰もが認める“名コンビ”は、いつの間にか、同じ舞台に立つことも、隣で笑い合うこともなくなりました。
今、2人の関係は「断絶状態」にあると言われています。
なぜ、そんなことに――?
その裏には、華やかな舞台の裏で起きていた、誰にも見せなかった“心の摩擦”がありました。
◆ 真央と佳菜子——固い絆で結ばれていたはずの2人
真央と佳菜子。この2人の関係は、まさに“姉妹”のようでした。
同じ中京大中京高校出身で、年齢差もわずか4歳。ともに世界で戦い、挫折も喜びも分かち合ってきた仲です。
現役引退後も、バラエティ番組などでたびたび共演。2021年には一緒に宮古島へ旅行に行く様子をSNSに投稿し、「尊い」「親友っていいな」とファンの間で大きな話題になりました。
笑顔で写る2人の写真は、まさに“無敵の友情”を象徴しているかのようでした。
――あの時までは。
◆ 亀裂の始まりは、あのアイスショー「BEYOND」
空気が変わったのは、2022年の春。
浅田真央さんが長年温めてきた夢――それが、自らが座長を務めるアイスショー「BEYOND」でした。
構成・演出すべてに真央さんの想いが詰まったこの舞台は、フィギュアファンにとっても期待の大プロジェクト。
当然、村上佳菜子さんも出演メンバーとして参加予定でした。
しかし、このショーをめぐって、現場では思わぬ“摩擦”が生まれてしまいます。
◆ 舞台裏の“ざわめき”と、正直者・佳菜子の苦悩
「BEYOND」の準備が進む中、出演者の中から次第に運営体制への不満の声が上がり始めます。
- 練習に対してギャラが発生しない
- 遠征先での宿泊費を、出演者が一時的に立て替えなければならない
- 現場での情報共有不足や連絡ミス
これらの問題が噴き出したとき、出演者たちは「誰かが代表して声を上げなければ」と考えました。
その矢面に立ったのが、村上佳菜子さんだったのです。
もともと裏表のない性格で、周囲の意見も汲み取るタイプの佳菜子さん。
彼女は“出演者の代表”という形で、座長である真央さんに運営上の問題を率直に伝えました。
また、無良崇人さんも年長者として同様に真央さんに現場の声を届けたとされています。
◆ “裏切り”と受け取られた言葉たち
しかし、そのやりとりは、真央さんにとって大きな痛手となったようです。
初めて自らプロデュースする大舞台。責任を一身に背負っていた真央さんにとっては、「仲間からの指摘」は“建設的な意見”ではなく、“信頼の崩壊”として受け取られてしまったのかもしれません。
そして事態は急展開を迎えます。
真央さんが「練習の中止」と「公演の開催断念」を突然口にしたのです。
最終的に「BEYOND」は形を変えて開催には至りましたが、そこに村上さんと無良さんの姿はありませんでした。
2人は「降板」ではなく、「外された」――。それが事実でした。
◆ 真央の決断、佳菜子の沈黙
浅田真央さんの当時の所属事務所は、次のようにコメントしています。
「本人から、2人との信頼関係が崩れたため、このメンバーではショーは成立しないとの判断がありました。運営側とも話し合い、メンバーを再編成しました」
一方、村上佳菜子さんの所属事務所は「仲良くさせていただいております」とコメントしたものの、それ以上の説明は一切なし。
この“噛み合わない回答”が、かえって2人の間に「埋まらない距離」があることを印象づけてしまいました。
村上さん自身も、テレビやメディアで浅田真央さんの名前をあえて避けるような言動が目立つようになり、ファンの間では「やっぱり…」という空気が広がっていきました。
◆ 友情が壊れたのか、それとも一時的な氷点下なのか?
果たして、2人の関係は完全に壊れてしまったのでしょうか?
それとも、まだ再び氷が溶ける日は訪れるのでしょうか?
2人の関係がすれ違った要因には、いくつかの“気質の違い”があると考えられています。
【1】立場のズレが感情のズレに変わった
座長という責任ある立場にいた浅田さんと、仲間を守ろうとした村上さん。
お互いの視点は決して間違ってはいなかったはず。しかし、立場が変われば“正しさ”も変わる――それが現場のリアルです。
【2】真央の完璧主義と、孤独なリーダーシップ
浅田さんは、誰よりも真面目で、ストイックで、理想を決して手放さない完璧主義者。
一方で、人一倍傷つきやすく、人間関係にも慎重なタイプとも言われています。
だからこそ、「仲間からの苦言」は、彼女にとって“信じていた人からの否定”に感じられた可能性も否定できません。
【3】佳菜子の誠実さと、忖度しない言葉
村上さんは、良くも悪くも“空気を読まない”。
裏を返せば、それは“誠実でまっすぐ”ということ。
「自分の意見を貫く」「大切な人のために、言いにくいことも言う」――その強さが、結果的に関係にヒビを入れてしまったのかもしれません。
◆ そして、今。未来は閉ざされたままなのか?
現在、浅田真央さんはコーチ業への挑戦をスタートさせ、新たな道を歩み始めました。
一方、村上佳菜子さんは、バラエティやキャスターなど幅広く活躍中。
それぞれのステージは違っても、“フィギュアを伝える”という使命に変わりはありません。
いつかまた、2人が笑顔で同じステージに立つ姿を見られる日が来るのか。
それは、誰にもわかりません。
ただ、沈黙こそがすべてを語るとは限らない。
言葉にしない想いが、きっと彼女たちの中にはまだ残っている――。
友情に終止符が打たれたわけではない。
ただ、今は少し離れた場所から、それぞれが自分の道を歩いているだけなのかもしれない。
そしてその道が、いつかまた交差する未来が来ると信じているファンは、少なくありません。
コメント