2025年6月13日。
YOSHIKIのSNSに投稿された、1本のメッセージが大きな波紋を呼んでいる。
プロデュースするボーイズグループ「XY」から、中心メンバーだったKARMA、GAI、KAIRIの3人が脱退。さらに、手越祐也らによる派生ユニット「T.N.T」もXYプロジェクトから完全に分離するという、まさに“激震”の展開だった。
かつて大きな期待とともに生まれたXY。だが、その華やかなステージの裏で、静かに積もっていたものは何だったのか?
この突然の決断の背景には、一体何があったのか?
ここでは、公式発表と文脈をもとに、その理由と意味を深掘りしていく。
■ 突然の別れ──何が起きたのか?
まずは事実を整理しよう。
- KARMA、GAI、KAIRIの3名がXYを脱退。
- 手越祐也、KYOHEY、FURUTATSUからなる派生グループ「T.N.T」は、XYプロジェクトから完全に独立。
- JAYはT.N.Tから離れ、今後はXYのDance & Vocalグループに専念。
- プロデューサーYOSHIKIは「意見や価値観の違い」「進むべき方向の不一致」があったと明言。
表向きは丁寧な言葉で包まれていたが、その奥には、グループとしての危機と、理想と現実の激しいギャップが垣間見える。
■ 「強い信念」がぶつかり合ったとき
「XYは皆、才能があり、情熱的で、自分の強い信念を持っています。」
YOSHIKIのこの一文は、グループの本質を鋭く表している。
XYはもともと、オーディション『YOSHIKI SUPERSTAR PROJECT X』を通じて集まった精鋭たちで結成された。個性が強く、夢も信念も譲れない。そんな“熱量の塊”が同じ器の中で共存するというのは、華やかに見える一方で、内側では常にバランスを問い続けられる綱渡りでもある。
時間の経過とともに、小さな意見のズレが大きな溝に変わる。
「自分はこうありたい」という理想が、グループという枠組みと噛み合わなくなる。
それは、音楽性の違いかもしれないし、ステージ演出の方向性かもしれない。
あるいは、「誰が中心か」という人間関係の温度差だったのかもしれない。
YOSHIKIは、そうしたズレが「表面化し、解決が難しい状況に発展した」としている。
■ YOSHIKIの不在と、綻びの拡大
もうひとつ、今回の決断を語るうえで欠かせないのが、YOSHIKI自身の状況だ。
実はこの間、YOSHIKIは首の手術とリハビリという過酷な医療生活を送っていた。
「メンバー一人ひとりに十分寄り添うことができなかった」と語る彼の言葉には、痛切な無念がにじむ。
プロデューサーの不在は、グループにとっては羅針盤を失うのと同じ。
判断を委ねる軸が曖昧になることで、メンバーは各自の「正しさ」に向かって動き出してしまう。
結果、方向性のばらつきが決定的となり、ひとつのプロジェクトとしてまとまりを失っていった。
■ T.N.Tの独立──“別のビジョン”が生んだ決別
T.N.Tの分離も、今回の大きなトピックだ。
YOSHIKIははっきりと、「T.N.Tの制作には関与していない」「XYのビジョンとは異なる」と明言している。
つまりT.N.Tは、XYの一部ではなく、**メンバーが自発的に作った“別物”**だったというわけだ。
ここで浮かび上がるのは、次のような構図だ:
- XYの枠組みに収まらないクリエイティブな動き
- 手越祐也というカリスマの加入による新たな空気
- 一方で、「XYブランド」としてのイメージやコンセプトのズレ
YOSHIKIは「XYに思い描いていたビジョンとは違った」と語り、その上で「T.N.TとXYを明確に切り離す」決断を下した。これは単なるグループ再編ではなく、プロデューサーとしての覚悟の表れだ。
■ 誰も悪くない、だからこそ苦しい
この騒動に、悪者は存在しない。
むしろ全員が、真剣に自分の音楽と向き合い、信念を貫こうとしていたからこそ、すれ違ってしまった。その真摯さが、時に組織としての限界を超えてしまうこともある。
YOSHIKIは、そんな彼ら全員に「心からの感謝」を伝えている。
「彼らと共に築き上げた時間や経験は、今後もXYの中に確かに息づいていきます。」
別れはあったが、そこには確かに愛があった。
XYという名の“夢の器”は、壊れたわけではない。中にいた水のかたちが変わっただけなのだ。
■ 新生XYへ──未来は、ここから始まる
グループにとって、大きな分裂は痛みを伴う。
ファンにとっても、心の整理がつかない出来事だっただろう。
それでも、YOSHIKIは言った。
「これは辛い転換期ではありますが、決して終わりではありません。」
そして、新たに走り出すメンバーたちに向けて、こう続けた。
「みんなの強靭な精神、揺るがぬ信頼、そして前に進み続ける勇気に感謝します。」
XYはまだ終わっていない。むしろ、新章が始まるのだ。
残ったメンバーとともに、新たな形で、再び輝きを放つ日はきっと来る。
■ おわりに──信じる人がいる限り、物語は続く
ボーイズグループの世界は、華やかに見えて繊細だ。
それぞれが夢を抱え、仲間でありながらライバルでもある。
だからこそ、ほんの少しのズレが、やがて大きな別れを生むこともある。
今回の脱退劇は、ただの“人間関係のもつれ”ではない。
それぞれが真剣だったからこそ、避けられなかった道でもある。
そしてファンにできるのは、変わっていく姿もまた**「リアルなXY」**として受け止めること。
終わりじゃない。
今、この瞬間こそが、新しい物語のはじまりなのだから。
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