2025年6月、日本中の獣医療関係者に、そしてペットと暮らすすべての人々に冷たい衝撃が走りました。
ひとりの獣医師が命を落とした――
その死因は、まさかの「ネコ」。
「えっ…? ネコってそんなに危ないの?」
「動物病院ってそんなリスクあるの?」
「それって人にも感染する病気なの?」
信じたくないけれど、これは現実です。
三重県のある動物病院で、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)に感染したネコの治療にあたっていた獣医師が、数日後に自らも発症し、そして死亡したというのです。
報道された情報は限られています。
けれど、このニュースの裏には、まだ誰も気づいていない、もっと深い真実が眠っている気がしてならない。
今回はこの事件の“裏側”に切り込み、
「亡くなった獣医師は誰なのか?」
「なぜここまで情報が伏せられているのか?」
「SFTSの本当の怖さとは?」
という疑問に、エンタメ視点と医療リテラシーの両方から迫ってみたいと思います。
■ 事件の全容:ネコ→獣医師の“ヒト感染”で死に至る
まずは、事実をしっかり押さえましょう。報道内容を簡潔にまとめると、以下の通りです。
- 場所:三重県内の動物病院
- 時期:2025年5月に発症、数日後に死亡
- 被害者:動物病院を開業していた獣医師
- 原因:SFTSに感染したネコを入院治療していた
- 感染経路:マダニに刺された痕跡はなく、ネコから感染した可能性が高い
- 他の感染例:飼い主や他スタッフに症状なし
…簡単に言ってしまえば、
**“治療中のネコが、獣医師の命を奪った”**のです。
それも、噛まれたわけでも引っかかれたわけでもない。
たった一度の接触、あるいは血液や唾液など微細な体液との接触だけで、致死率30%のウイルスが人体に入り込んでいた――。
このストーリー、もはやホラー映画です。
でも、これは本当に起きた話。
しかも、全国ニュースとして大きく取り上げられることもなく、静かに、密かに報道されたのです。
■ 名前も病院名も一切非公開──なぜ?そこにある“沈黙の重み”
さて、このニュースを読んだ人の99%が抱いた疑問は、きっとこれでしょう。
「で、その獣医師って誰だったの?」
でも、どのメディアを探しても名前は出てきません。
もちろん病院名も非公開。住所の詳細もなし。
この“情報の欠落”こそが、逆に事態の深刻さを物語っています。
「なぜここまで伏せられているのか?」
「これは“守られている”のか、“隠されている”のか?」
筆者が考えるに、その理由は以下のようなものでしょう。
● ① 遺族の強い希望と、個人特定リスク
突然の死。
しかも報道された直後からSNSには「どこの病院?」「うちのかかりつけ?」といった不安と好奇心が溢れました。
この状況で名前が出れば、遺族のプライバシーは簡単に崩壊してしまう。
ましてや開業医であれば、「名前=住所・病院・顔写真」まであっという間に特定される時代です。
● ② 風評被害と誹謗中傷のリスク回避
「感染源のネコはどこから来たのか?」
「診療にミスがあったのでは?」
「感染対策が不十分だったのでは?」
こうした“責任探し”が始まると、たとえ真実が違っていても、ネットの中では一方的に断罪されてしまう。
これは医療関係者が最も恐れる展開です。
獣医師会や行政が名前を公表しないのは、現場を守るための最後の防壁でもあるのです。
● ③ 医療従事者としての尊厳の維持
人の命を守るために、獣医師もまた最前線で戦っています。
その“戦死”を、無遠慮に晒すべきではない――。
そう考える医療関係者も多いでしょう。
今回の獣医師は、誰よりも早く危険を知っていたはずです。
それでも、ネコの命を救おうとした。
その行動には、一種の英雄性すら感じられます。
■ SFTSとは何か?――私たちはこの病気を“知らなすぎる”
ここで改めて、今回の死因となった**SFTS(重症熱性血小板減少症候群)**について解説しておきましょう。
項目 | 内容 |
---|---|
正式名称 | Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome(重症熱性血小板減少症候群) |
原因 | フレボウイルス(SFTSV) |
主な感染源 | マダニ/感染した動物(特にネコ・イヌ) |
潜伏期間 | 6〜14日 |
主な症状 | 発熱、下痢、吐血、黄疸、呼吸困難、血小板減少など |
致死率 | ヒト:最大30%/ネコ:60%以上とも |
この病気、実は2011年に初めて中国で確認された比較的新しいウイルス感染症なんです。
日本では2013年以降、特に西日本で感染例が増加中。
しかもマダニだけでなく、感染した動物からの“体液感染”も確認されている。
つまり、ペットと暮らしている人、特に外に出るネコを飼っている人には、決して他人事じゃない病気なのです。
■ ネコから人へ――感染リスクの“新たなステージ”へ突入した現実
これまでもネコからの感染例は報告されていましたが、
**今回のように獣医師が直接死に至ったケースは、おそらく国内初(あるいは極めてまれ)**です。
この一件は、「動物と人のウイルスの境界線」が、ついに現実的なリスクとして見えてきたことを意味します。
- 治療中に血液や唾液が飛んだ?
- ネコが発熱・嘔吐していた?
- 獣医師はどんな防護をしていた?
わかっているのは、“医療従事者でも感染を防ぎきれなかった”という事実。
これは、決して「誰かのミス」ではありません。
むしろ、「最前線で命を守っていた人の命が奪われた」という、痛ましいリアルなのです。
■ 結論:「名前」より大事なのは、“この死を無駄にしないこと”
たしかに、「誰だったのか」は気になります。
私たちは物語性を求め、背景を知りたがる生き物です。
でも、それ以上に大切なのは――
この獣医師の死から何を学ぶか。
そして、私たちはどう変わるべきか。
- 動物と人が近くに暮らすこの時代、感染症への理解と備えは不可欠です。
- 獣医療の現場では、これまで以上の感染対策と意識が求められます。
- 飼い主である私たちも、日頃からネコやイヌの様子をよく観察し、異変があればすぐに相談を。
■ 最後に
亡くなられた獣医師の方へ――
あなたの勇気と献身に、心からの敬意と哀悼を。
その死が、今後同じ悲劇を繰り返さないための“はじまり”となりますように。
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