2024年5月31日、静かなはずの佐賀市金立町の児童福祉施設で、信じがたい事件が起こりました。
2歳の娘に会いに訪れた28歳の母親が、職員を包丁で切りつけて死亡させたこの事件。
殺人容疑で現行犯逮捕されたのは、佐賀県武雄市在住の平田ミル容疑者(28)。
報道では「会社員」とされていますが、勤務先に関する具体的な情報は、いまだ一切明かされていません。
被害者である川原千恵さん(55)の命を奪った凶行。その背景には、複雑な家庭事情、精神疾患、制度の“隙間”が絡み合っていました。
そして今、多くの人が疑問に感じているのが——
「“会社員”ってあるけど、実際どこに勤めていたの?そもそも本当に働いていたの?」
この記事では、報道されていない平田容疑者の勤務先に関する情報をもとに、報じられない理由と、考えられる就労の形態や背景を、リアルに考察していきます。
■「会社員」の肩書きの裏にある曖昧さ
まず押さえておきたいのは、報道で使われる「会社員」という肩書きが、必ずしもフルタイムで安定的に勤務している正社員を意味するわけではないという点。
実際には、以下のようなケースも含まれます:
- パート・アルバイトでも会社に雇用されていれば「会社員」と表記される
- 派遣社員、登録スタッフも「会社員」扱いされる
- 休職中でも“在籍”していれば肩書きは会社員
平田容疑者は、夫と娘との3人暮らしでしたが、すでに心のバランスを崩しており、パニック障害や躁うつ病と診断され、医療機関に通っていたことが報じられています。
5月12日には、自身の娘に対する暴言などにより児童相談所が娘を一時保護。
さらに翌日には児相に押しかけ、「返さなければ私が死ぬ」と叫び、消毒液を飲んだり、自分の首を絞めたりするなどの自傷行為を行ったとして、警察に保護されています。
その状況下で「会社員」という肩書きは、果たしてどこまで現実を映しているのか?
この問いは、事件の深層を知る手がかりにもなるのです。
■ 勤務先が報道されない“3つの理由”
勤務先が明かされない理由には、いくつかの可能性が考えられます。
① 企業への配慮、二次被害の回避
報道によって勤務先が特定されれば、まったく関係のない企業がネット上で誹謗中傷や風評被害にさらされるおそれがあります。
特に精神疾患や家庭問題が背景にある事件では、「企業が何か責任を負うべきでは?」という誤解が生まれることも。
記者や編集部があえて企業名を伏せるのは、実は“人道的な配慮”でもあるのです。
② 実際は働いていなかった可能性
先述の通り、平田容疑者は通院歴があり、事件の少し前にも自傷行為で警察に保護されています。
このことから、「会社員」とされていても、実際には休職中だった、あるいは形だけの雇用状態だった可能性も高いと見られます。
つまり、「働いている」よりも、「籍だけ残している」「支援制度にひもづいた就労」といった状況だった可能性が濃厚です。
③ 中小企業や非正規雇用で特定が難しい
報道の“報じる側の都合”という側面もあります。
大手企業であれば社会的影響もあり、企業名が出ることもありますが、地方の中小企業や契約社員のケースでは、特定しても“報道価値が低い”と判断されることがあります。
特に今回の事件は、精神疾患・家庭問題・児童相談所とのトラブルなど複合的な背景があり、報道が「企業名」にまで踏み込む余地がなかったとも言えるでしょう。
■ 福祉制度と“働く”のグレーゾーン
もう一歩踏み込むと、就労支援や障害者雇用制度の可能性も見えてきます。
日本では、心の病を抱える人でも、一定の支援を受けながら「働くこと」ができる制度があります。
たとえば:
- 就労継続支援A型・B型事業所
- 障害者雇用枠での企業就労
- 地域活動支援センターやNPOとの連携就労
平田容疑者も、こうした制度を活用して“在籍”していた可能性があります。
しかし、そこには常にリスクが潜んでいます。支援が足りなければ、制度だけでは限界がある。
ましてや家庭にトラブルがある場合、その歪みは爆発的に表面化することもあるのです。
■ 事件当日、突如として崩れた日常
事件当日、平田容疑者は夫にこう連絡しています。
「娘が2歳の誕生日だから、会いに行く」
面会時間に間に合わないという夫の言葉に、平田容疑者は「施設に着いたよ。いつ来るの?」と電話。
この直後、川原さんを襲撃。
娘に会う“誕生日の面会”が、なぜ殺意へと変わったのか。
彼女の中に渦巻いていたものは、想像を絶する感情だったのかもしれません。
■ まとめ:報道されない勤務先にこそ、この事件の“闇”が見える
「会社員」という言葉の裏側には、実に多くのグレーが存在します。
勤務先が報じられないのは、“報道しない”のではなく、“報じられない”のかもしれません。
精神疾患、子育て、制度のはざま。
そして、限界に達した一人の母親の孤独。
事件の全容はまだ捜査中ですが、今後、裁判の過程で勤務先や生活実態が明らかになる可能性もあります。
私たちが見ているのは、単なる“凶悪事件”ではなく、「誰にでも起こり得たかもしれない」社会の綻びなのかもしれません。
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