2025年春、日本中の野球ファンが熱狂した伝説のカード――MLB東京シリーズ「シカゴ・カブス vs ロサンゼルス・ドジャース」。
3月に東京ドームで開催されたこの試合は、世界最高峰のスター選手たちが集う特別なイベント。チケットの倍率は異常なほど高く、文字通り**“プラチナチケット”**と化していました。
けれど、そんな夢の舞台の裏で、ひとりの男が冷酷なビジネスを展開していたのです。
「夢の試合を見たい」ファン心理に付け込んだ男の正体
事件が明るみに出たのは5月27日。警視庁生活安全特別捜査隊が発表したのは、衝撃的なニュースでした。
「MLB東京シリーズのチケットを不正に転売し、約2,180万円を不当に得ていた男を逮捕」
容疑者の名前は――
小久保 護(こくぼ・まもる)容疑者、54歳。
千葉県船橋市藤原に住む“ごく普通の会社役員”でした。
スーツを着て取引先に頭を下げ、部下に目を配るような、街で見かければ何の違和感もない中年男性。
しかしその実態は、**ファンの情熱をカネに換えたチケット転売の“裏プレイヤー”**だったのです。
事件の全貌──62枚のチケット、最大33倍の値で転売
小久保容疑者の手口は巧妙で、かつ悪質でした。
彼はまず、法人向けのチケット抽選に、複数の名義を使って次々と応募。合計で62枚ものチケットを獲得します。
そのチケットを、なんと定価の最大約33倍という価格で転売。結果、得た利益は約2,180万円に上ったといいます。
その中には、わずか2日間(2月14日〜15日)で都内の男女3人に対して12枚(定価約43万円相当)を約790万円で売却した取引も。
つまり、1枚あたりの価格は平均65万円超え。
高騰する海外アーティストのチケットでもここまでの金額は稀。あまりに常識外れな額に、ネット上でも「ボッタクリを通り越して詐欺」「それでも買ってしまうファン心理も切ない」といった声が相次ぎました。
「会社の資金繰りのためだった」──リアルすぎる動機
警視庁の取り調べに対し、小久保容疑者は容疑を認め、「経営する会社の資金繰りのためだった」と供述しています。
不景気、コロナ後の業績不振、増税ラッシュ――
確かに中小企業を取り巻く状況は厳しいかもしれません。
ですが、それがファンを欺き、チケットを“金に変える”理由になるのか?
しかも、彼が使っていたのは母親名義の転売サイトアカウント。
自分の名義で堂々と売る勇気はないが、金は欲しい。そこにあるのは、狡猾さと罪悪感の欠如だけでした。
容疑者・小久保護とは何者なのか?
ここで、小久保容疑者のプロフィールを整理しておきましょう。
■ 小久保 護(こくぼ・まもる)プロフィール
- 年齢:54歳(2025年時点)
- 職業:設備会社の社長
- 住所:千葉県船橋市藤原(番地非公開)
- 家族構成:母親と同居もしくは近居の可能性。転売に母親名義のアカウントを使用。その他の家族構成(妻・子供など)は不明。
- SNSアカウント:本人のSNSは現在特定されておらず、警察も詳細を公表していない。今後ネット上で特定が進む可能性あり。ABEMA+2kfb.co.jp+2ABEMA+2
事件が突きつけた“現代の転売問題”の闇
この事件が我々に突きつけたのは、「転売問題がもう無視できない社会課題になっている」という厳しい現実です。
特にスポーツイベントやコンサート、舞台などのチケットは、ファンの「見たい」という純粋な気持ちに寄り添って成立する文化です。
それを「金儲けの道具」にする転売行為は、単なる法律違反にとどまらず、人の感情や思い出を踏みにじる行為に他なりません。
さらに今回のように、“一般人の顔をした加害者”が、日常の中に紛れている事実は、より一層の警戒を促します。
ネットの声:「私たちは何に金を払わされていたのか」
事件が報道されるや否や、SNSには怒りと虚しさが交錯する声が溢れました。
- 「MLBの試合、チケット取れなくて泣いたのに、こんな人が62枚も持ってたなんて」
- 「転売ヤーに何十万も払った人がいると思うと…悔しい」
- 「違法転売、もっと厳罰化してほしい」
一方で、こんな冷めた意見も。
- 「もうプレミアチケットは金持ちの遊びになってる」
- 「転売されても買う人がいる限り、なくならないよ」
事件は終わったわけではありません。小久保容疑者の裁判、捜査の拡大、背後にいる協力者の有無など、まだ多くの謎が残っています。
まとめ:欲と現実の狭間で
私たちの誰もが「ちょっと得をしたい」「お金が欲しい」と思うことはあります。
でも、そのために人を騙し、夢や感動を食い物にすることが、どれほどの重みを持つか――この事件は、それをはっきりと教えてくれました。
「たかが転売」じゃない。これは立派な犯罪です。
エンタメを愛するすべての人が、安心してチケットを手に入れられる未来へ。
今こそ、私たち自身の意識も問われています。
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