夜のタクシー。
安心して家路を託すはずの場所。
だが、そこに乗った瞬間から、悪夢が始まっていたとしたら──。
信じられない事件が、東京で明るみに出た。
ベテランタクシー運転手が、乗客の女性に“睡眠薬”を飲ませ、意識を失わせた上で性的暴行を加えるという前代未聞の犯行。
その手口は巧妙で、そしてあまりにも冷酷だった。
■深夜の罠──「大丈夫？これ飲んで落ち着いて」
舞台は、深夜の東京・渋谷。
クラブ帰りの20代女性が、一台のタクシーに乗り込んだ。疲れていた。少し酔っていた。そして…運転手の“やさしさ”が、何よりも危険だった。
「顔色悪いね、大丈夫？これ、飲むと楽になるよ」
手渡されたのは、錠剤と水。
好意と見せかけて差し出された“毒”。それを口にした瞬間から、彼女の意識は闇へと落ちていった──。
目が覚めたのは、人気のない駐車場。所持金やキーケースは消えていた。身に覚えのない身体の違和感と共に、恐ろしい現実が彼女を襲う。
■加害者の正体──“善良な中年”の仮面をかぶった54歳
事件の容疑者として逮捕されたのは、江戸川区在住の元タクシー運転手・田中敏志（たなか・さとし）被告、54歳。
一見して目立たない、どこにでもいそうな中年男性。だが、その裏に潜んでいたのは“長年培った手口”と“冷徹な計画性”だった。
●容疑者プロフィール
- 氏名：田中 敏志（たなか・さとし）
- 年齢：54歳
- 職業：元タクシー運転手
- 住所：東京都江戸川区春江町
- 家族構成：不明（近隣住民の証言でも家族の姿は確認されていない）
- SNSアカウント：特定されず。ネット上にも痕跡はほぼなし
- 勤務先のタクシー会社：東京都内に本社を置く中規模タクシー会社。名前は報道されていないが、複数年にわたる勤務歴があると見られる
「普通のおじさんだった。挨拶もするし、トラブルもなかった」──近隣の住民はそう語る。
しかし、その裏で田中被告は、複数の女性を狙い、タクシーという密室を“狩場”に変えていた。
■悪夢の手口──信頼と眠気を利用した計画的犯行
田中被告が用いたのは、なんと「睡眠薬」だった。
それをあたかも風邪薬や栄養剤のように装い、客の警戒心を解いたのだ。
●犯行の流れ（推定）
- 客が疲れていたり酔っていたりすると、体調を気遣う言葉で接近
- 錠剤と水を渡し、「これ飲めば楽になるよ」と勧める
- 意識を失った女性を自宅もしくは人目のない場所へ移動
- 性的暴行を加え、スマホで撮影
- 金品を盗んで現場を離れる
警察の捜査によって押収されたスマートフォンからは、被害女性の画像や動画が多数発見された。しかもその中には、今回の被害者以外の女性の姿も……。
田中被告は“1回きり”の犯行ではなく、“繰り返していた”可能性が極めて高い。
■犯行の裏にあった“証拠隠滅”と“執拗な計画性”
警視庁によると、タクシー車両のドライブレコーダーからは、SDカードが抜き取られていた。
犯行を隠すために、録画データを意図的に消去していたのだ。これは明らかな証拠隠滅行為であり、彼がいかに計画的だったかを物語っている。
また、犯行現場の選定や時間帯、服装なども綿密に準備されていた可能性がある。
田中被告は「本物の“猟師”」だった。
狙いを定め、心を許した瞬間に、獲物を仕留める──。
■ネットにも残らない“空白の人間”
現代社会において、SNSは人間関係や性格を映す鏡だ。だが、田中被告には“鏡”がなかった。
Facebook、Instagram、X（旧Twitter）──いずれにも、明確に本人と特定できるアカウントは存在しない。
投稿歴ゼロ。フォロワーもなし。まるで、ネット上に存在しない「影」のような人間。
警察関係者の話では「自分の情報を残さないよう、意識的に行動していた可能性がある」との見方も出ている。
■安心して乗れない──タクシーの“安全神話”は崩壊した
この事件が突きつけたのは、「信頼」の崩壊だ。
深夜、ひとりでタクシーに乗る。
多くの人が、その行為を“安全”だと信じて疑わなかったはずだ。
だが、その“安全”を装った空間が、実は最も危険な密室だったとしたら？
信頼とは、一瞬で裏切られる。
しかもその瞬間は、疲れていて、酔っていて、判断力が鈍っている時に訪れる。
だからこそ、今、私たちは問われている。
「その優しさ、本当に信じていいの？」
■私たちにできる自衛策とは？
被害を防ぐためにはどうすればいいのか？
専門家は、以下のような点に注意するよう呼びかけている。
- 他人から渡された飲み物・薬は、絶対に口にしない
- タクシーに乗る際は、車両番号・会社名をスマホで記録する
- 意識が遠のきそうになったら、即座に家族や友人へ連絡を
そして何より大切なのは、「おかしい」と思った自分の直感を信じることだ。
■事件の続報に注目
田中敏志被告は、すでに「不同意わいせつ罪」で起訴されており、警視庁は5月21日に“不同意性交”および“性的姿態撮影処罰法違反”の疑いで再逮捕の方針を固めている。
今後の捜査では、他の女性への被害も明らかになる可能性が高い。
社会が見逃してきた“隠れた悪意”。
そのすべてが、これから白日の下に晒されようとしている──。
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