夕暮れの広島市中区、静かな川沿いで突如発覚した“親子の悲劇”。
「息子を殺したんです」——そう告げて自首してきたのは、80歳の母親でした。
平和な日常に突きつけられたショッキングな現実。その背景には、誰にも言えなかった“家庭の限界”がありました。
■ 静かな川沿いが一変、現場は京橋川の土手
事件の舞台となったのは、広島市中区白島九軒町、京橋川沿いの土手。
地元住民が犬の散歩やジョギングを楽しむこの穏やかな場所で、事件は突如として起きました。
2025年5月5日、午後6時半ごろ。
清原和子容疑者(80歳)は、息子・清原剛さん(55歳)の首をひも状のもので絞め、殺害しようとした疑いでその後逮捕されました。
■ 「息子を殺した」——母の告白に、交番騒然
犯行後、清原容疑者は現場近くの交番を訪れ、自らの口で事件を告白。
「息子を殺しました」——その言葉に、警察は凍りついたといいます。
すぐに警察が現場に向かうと、剛さんは仰向けに倒れており、意識はなく、すぐに病院へ搬送。
しかし、搬送先で死亡が確認され、事件は“未遂”ではなく“殺人”へと重みを増しました。
■ 容疑者は容疑を認める「間違いありません」
和子容疑者は取り調べに対して、
「間違いありません」と淡々と答え、容疑を認めています。
その姿からは、強い怒りでも、興奮でもなく、まるで“覚悟”のようなものが滲んでいたと捜査関係者は語っています。
警察は殺人容疑を視野に入れ、事件の背景に何があったのかを慎重に調べています。
■ 容疑者プロフィール:加害者は、ただの“高齢女性”ではなかった
- 名前:清原 和子(きよはら かずこ)
- 年齢:80歳
- 職業:無職
- 家族構成:息子(清原剛さん・55歳)と2人暮らし
- 供述:「間違いありません」と犯行を認める
- 同居状況:同じ自宅で長年、親子だけの生活を続けていたとみられる
彼女はどこにでもいそうな“おばあちゃん”でした。だが、その穏やかな外見の裏には、長年積もりに積もった何かがあったのです。
■ 住所は「舟入町」——静かな住宅地の中で
清原容疑者の自宅は、
広島市中区舟入町にあります。
市中心部からも近く、路面電車が走るアクセス良好なエリアで、静かな住宅街と商業施設が共存する地域。
まさか、そんな身近な街角で“殺人事件”が起きるとは——と、近隣住民も動揺を隠せません。
■ そして最大の疑問…「なぜ、息子を殺したのか?」
清原容疑者は、なぜ、実の息子を手にかけたのか?
警察によると、現時点での供述や状況から、次のような背景が見えてきています:
- 息子・剛さんは無職で、収入はゼロに近かったとみられる
- 高齢の母が家計を支える唯一の存在だった可能性
- 経済的・精神的負担が限界に達していた
- 長年にわたる家庭内トラブルや介護疲れの可能性
- 誰にも相談できず、孤立していた現実
「このまま一緒にいても、先が見えない」
「終わらせるしかないと思った」
——もしそんな想いがあったとしたら、それは“殺人の動機”ではなく、“叫び”だったのかもしれません。
■ 専門家も警鐘「これは他人事じゃない」
高齢化が進む日本社会では、親が高齢になっても、子が社会的に自立していないケースが増えています。
“8050問題”(80代の親が50代の子を支える構図)は、もはや珍しくありません。
——親の年金で生活を成り立たせる
——心身共にすり減る介護と同居生活
——周囲に頼れない、相談先がない
事件を防ぐには、“家庭内の限界”に気づき、早い段階で外部の支援につなげる仕組みが必要だと、専門家は指摘します。
■ 今、私たちにできることとは?
「なぜ事件が起きたのか?」を追及するだけでなく、
「どうすればこの事件が起きなかったのか?」を考えるべきタイミングです。
- 近所の高齢者と、話したことがありますか?
- 相談窓口や地域支援の存在を知っていますか?
- “頑張りすぎている家庭”に気づいていますか?
もしかしたら、少しの気づきと声かけが、この事件を防げたかもしれないのです。
■ まとめ:静かな母の“最期の決断”が突きつけた現実
夕暮れの川沿い、80歳の母は、55歳の息子の首を絞めた。
それは、衝動ではなく、静かで、深く、悲しい“決断”だったのかもしれません。
「息子を殺したんです」——その言葉の重さは、私たち一人ひとりに問いかけています。
家族とは何か。支えるとは何か。限界を、誰が気づくのか。
この事件は、家族という小さな世界の崩壊であり、社会全体への大きな警告でもあります。
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